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長谷川京子の離婚報道に見え隠れする「金持ちの妻は働くな」の抑圧

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レプロエンタテイメント公式プロフィールより

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 現在放送中のドラマ『ペテロの葬列』(TBS系)にメインキャストとして出演している長谷川京子(35)が、「離婚の準備を始めたのか?」と言われている。2008年10月にポルノグラフィティのギタリスト・新藤晴一(39)と結婚し、翌年5月に第一子、そして12年1月に第二子を出産している長谷川だが、昨年から本格的に女優復帰したことにより「離婚の予感」が業界内で囁かれている、とゲンダイネットが伝えている。

 長谷川は昨年の大河ドラマに出演したのを皮切りに、5~6月放送のWOWWOドラマ、7~9月放送の連ドラ『Oh,My Dad!!』(フジテレビ系)、今年4~6月の『続・最後から二番目の恋』(同)、そして現在は『ペテロの葬列』に出演。“セレブな夫”と子宝にも恵まれているゆえ、彼女が「ガツガツ仕事をする理由は見当たらない」とある。

 「女優業をこなすためにお手伝いさんも雇っている」「完璧なママになろうとして悩んだ時期もあったが今は仕事が息抜きになっている」という芸能リポーターの声を掲載している同記事だが、【金持ちなのに子供を預けてまでなぜ働くのか?】という彼らにとっては「素朴」な疑問が、思いきり露呈している。シメは「仕事が息抜きとは、さすが優雅なものだ」。

 夫の稼ぎが安定しているのならば、母親が幼い子供を預けてまで働く理由がない、という固定観念は2014年現在もなお日本に根強い。まず「男女つがいで婚姻関係を結び子を為す」ことが人間として“善”であるという前提のもとに、「男が外で働き、女が家と子供を守る」家庭こそが正しい家族の在り方だという主張である。

 しかしこの画一的な家族観こそが男女を抑圧し、結婚への道を阻んでいる。今年4月に、長谷川潤(28)が月に1度のペースでハワイと日本を行き来する生活を送っていると明かした時も、「一歳半の娘を置き去りにしてまで仕事する必要があるの?」とバッシングを浴びた。長谷川潤は子供を「置き去り」にしたわけではなく、家族やシッターに預けており子供を危険にさらしているわけではないのに、母親本人がつきっきりで育児をしていないという理由で非難されるのだ。

 長谷川京子の件に話を戻すと、彼女の女優業再開は、第二子出産に伴う産休と育休を一年間取得して仕事復帰したと考えればごく自然。「女は稼げる男と結婚したら働かなくていい」「母親にとっての一番の仕事は育児」という観念がまかりとおる世の中は、多くの男女にとって様々な権利を阻害している。

 タチが悪いのは、上記の主張を持つ側は全然悪気がなく、無意識に刷り込まれた価値観を疑いもしていないところだ。都議会の「産めないのか」ヤジ騒動も、根底はここだろう。「働くか子を産み育てるか」の二択を迫られれば、少子化国となるのも必然。いい加減、「働きたいから働いてます」が違和感なく受け入れられる国になってほしいものだが、前途は多難かもしれない。
(ヒポポ照子)

ヒポポ照子

東京で働くお母さんのひとり。大きなカバを見るのが好きです。