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フェミニズム批判から「女性が輝く日本」を考える

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次に、フェミニストがあまりに「個人」の問題ばかり注視していたことが問題。政治が家庭内暴力や性的暴行などの「経済的じゃない問題」を取り扱わないことを批判していたけれど、経済を見なさすぎ。女性の貧困などに注目してなかった、ネオリベとくっついてしまって、政治・経済を批判すべきときに「文化的性差別」の話ばかりしていた。しかも「性自認」みたいなごく一部の面しか取り上げられてないし……。

福祉国家は「男が家族の中心だ!」という前提に基づいている、という批判も良くなかった。フェミニストは、トップダウンで国が上から福祉を与えるのではなく、ボトムアップの支援を提言していたけれど、これも「国はマクロな視点で支援やらなくて良いですよ」という風に読み替えられて、経費削減の言い訳に使われてしまっている。

フェミニストが目指す「女性の解放」ってこんなんじゃないでしょ? ネオリベと手を切って、再出発しなければ、ホントの女性の解放なんか来ないよ! そのために、介護などの非賃金労働の価値を高めて、低賃金労働に都合良く使われるのはやめよう! 男性的価値観に基づく社会的ステータス(要するに、会社の役員になったり、投資家として成功したり)を変革することと、経済的公平性を一緒にやらないとダメ! トップダウン批判が弱肉強食の市場原理主義と繋がっちゃダメ。参加型の民主主義を取り戻さなきゃ!

 ……以上、長くなりましたが(そして【messy】においては異例の硬い話……)「女性が輝く日本」が唱えられている日本においても、この記事は重要のように思われました。フェミニストが「女性が輝く日本」を批判している理由が、これを読むとクリアになるでしょう。

 「待機児童の解消」などは良いことだと思うんですが、会社で「女性の偉い人」が増えてもそれで男女の不平等が是正されるかどうかは甚だ疑問です(これこそ、偉い人になるのが自己実現だ、社会的成功だ、という男性的価値観を前提とした価値観の押しつけとも言えるわけで)。「安倍総理、女性に優しいんでしょ? 良いじゃん」と暢気に発言する男性が周囲いらっしゃったときに、この記事が「これじゃ、輝けないですよ」と説く手がかりとなれば幸いです。

■カエターノ・武野・コインブラ /80年代生まれ。福島県出身。日本のインターネット黎明期より日記サイト・ブログを運営し、とくに有名になることなく、現職(営業系)。本業では、自社商品の販売促進や販売データ分析に従事している。

 

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra