連載

性欲剥き出しの日本社会を恥じる価値観

【この記事のキーワード】

欲望を隠すということ

 「それが現代の日本だから仕方ない」と言われれば、おしまいですけれど、コンビニにいけばエロ本コーナーがあり、電子の中吊り広告には下世話な週刊誌の文句が並び、インターネットは卑猥なエロ広告がクリックしてくれとアピールしまくっている。messyのスマホバナーも軒並みエロです。

 ヘテロ男性の欲望が剥き出しになりまくっている社会で、不愉快な思いをする女性がいるのは当たり前ですし、欲望剥き出し社会を男性は恥ずかしいと思うべきなのではないか……とも考えてしまいます。だって、勃起した男性器を丸出しにして生活しているようなものでしょう、これは。

 こういうことを書いておりますと「ポルノ撲滅に加担するのか!」、「ポルノがあるから性犯罪が減るのでは!」、「誇りをもってポルノ産業に従事している人もいるだろう!(そういう人の職業選択の自由を奪うのか!)」といった激しい怒りに満ちた声を高確率でいただきます。おっしゃることは私にも理解できます。しかし、これは自分の欲望を剥き出しにして生きてきた既得権者側の主張です。

 欲望をめぐる社会の動きとしては、今年7月、改正された「児童買春・児童ポルノ禁止法」が施行されました。この改正においては、いわゆる「2次元ポルノ」の規制が議論され、「2次元キャラには侵害する人権がないからOK」「表現の自由に抵触する」などを根拠にした規制反対の声が上がりましたが、私個人としては「2次元キャラに人権がなくても、それが女性全体に対しての侮辱と捉えられるのであればダメでは……」と思うし、「『表現の自由』を持ち出した瞬間、なんでもありになっちゃって良いんですか……」と疑問に思う。

 「2次元ポルノ」が、イコール「クールジャパン」の文化として解釈され、「OK! 全然恥ずかしくない! 欲望剥き出しでも問題なし!」となってしまうこと自体に違和感を覚えます。これと似た居心地の悪さを、およそ一年前に刊行された新書『グラビア美少女の時代』(集英社)からも感じました。

 本書は長きに渡って「週刊ヤングジャンプ」(集英社)のグラビア・コーナーを担当してきたカメラマン、細野晋司が撮影してきた写真と、さまざまな論者によって語られる「美少女グラビア論」を併載した「アイドル評論本」に位置づけられるでしょう。綾瀬はるか、広末涼子、相武紗季、戸田恵梨香……といった今は人気女優として活躍する女性たちが、かつてグラビア・ページを彩った頃の姿とともに、美少女グラビアの歴史や「グラビアはアートになりえるか?」といった考察で構成されています。人気女優たちのグラビア時代を懐かしむとともに、これらの考察を私は興味深く読みました。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra