――貧困だった過去を救ってくれたからこそ、セックス産業からは離れることができなかったのね。今は置屋に住んでいるの?
「住み込みの女性従業員が2人、娼婦が8人。私は住み込みではありません。仕事は娼婦のお世話やお客様の対応ですが、外からお客様を案内してくる男性従業員と同じような形態で働いてます。オーナーも時々その様子を見にいらっしゃいます」
――置屋まで案内する従業員がいないとお客は入れないの?
「外観は置屋とはわからないような家なので、外国人が辿り着くのはまず不可能だと思われます。家といってもとても狭くて不衛生ですが……。お客様をご案内する部屋がリビング、あとは4畳ほどの個室に2人ずつ寝ています」
――そのような形で女の子を選ぶ場所が外国人にとって一番人気なのかしら?
「いいえ、外国人男性に一番人気の有名店はパッポン通りのゴーゴーバーではないでしょうか。ステージでは露出度の高い衣装を着た女性が踊っていて、お酒を飲みながら鑑賞し、気に入った女の子がいたら連れ出すようなところです」
――聞いたことがあるわ。お客様はやはり外国人が多いのかしら。
「そうですね、地元のタイ人はほとんどいらっしゃいません。もちろん、たくさんの日本人もいらっしゃいます」
――外国人から見て売春価格が安いとはよく聞くけれど、いくらくらいなの?
「私が働くところでは、女性によってバラバラですが1回300~1000バーツ(約900~3200円)です」
――やっす!! もしかして日本の相場の1割くらい!?!?
「常連の場合はさらに安くなりますよ」
――全額女の子の給料になるわけじゃないのよね?
「客が支払う金額の半分が彼女たちの取り分です。大体一晩で3~4人程度のお客さんにつくので、平均して1日に3000~5000円くらいの日収ですね」
――そんなに安かったら日本人は毎日だって行くかもしれないわね。働く女性たちはどうやって見つけてくるの?
「昔は村を回って売春したい女性を連れてくることもあったそうですが、最近は彼女たち自ら売春目的で地元を離れて歓楽街を訪れます。その子たちに声をかけているそうです」
――やはり売春したい女性が後を絶たないのは貧困が原因なのかしら。
「そうですね、身体を売る目的のほとんどが『両親を助けるため』なので、彼女たちの生活はとても質素。稼ぎの大半を親への仕送りと貯金にあてています。両親も、自分の娘が売春をしていることを知っていながら仕送りを受け取ります。これはなかなか外国人からは理解されませんが、そのくらい貧困な地域があるのです」
――貧乏なわけではないけど、「華やかな生活がしたい」「他にできることがない」という日本人の風俗嬢女性が私の友達にいるけど、全く違うのね。
「稀に自分のために働いている子もいますが、タイの大部分は両親を助けるために身体を売っています。ですが……最近、いくらなんでも酷い現場に立ち会いました」
――教えていただけるかしら。