――お付き合いされてる当初もそうでした?
伊「そうだね。最初から週に何回もするみたいな時期はなかったね」
――付き合い始めのラブラブな時って会う度にしたりしません?
伊「いや、ないね」
――ないんですか。
伊「3年くらい付き合って結婚したけど、付き合いはじめてからすぐに彼女がうちに転がりこんできたから、その段階からもう家族みたいな感じだった」
――何でそれをすぐに受け入れられたんですか?
伊「家来た時? あんまり俺の性格的に気にしないというか、来る者は拒まず系だから。それが気を使うような相手だったら退いちゃうけど、比較的気を使わずにいられたんで」
――その頃は伊原さん、27歳ですよね。それ以前の恋愛遍歴ってどんな感じだったんですか?
伊「同棲するほど付き合った子はいないな。1番長くて2年くらいだね。その子とは18~20歳くらいまでにがっつり付き合った子で、それ以降はまともにお付き合いしましたって子はいないかな。何回か会ってもうやめるみたいな。基本的には女性と合わないタイプで、結婚しないと思ってたしね。女性といても疲れるし気を使いすぎちゃうから楽しくないというか、義務感も生まれて。だから長続きしないし、そもそもあんまり性欲ないから」
――昔から性欲ない? 中高生の時って、射精に対する欲求が凄まじい時期が来るんじゃないんですか?
伊「あった。でも今考えれば、それも他の人に比べれば弱かったと思うよ。みんなは必死にAVかき集めたりさ、エロ本どこで手に入れるかとかそういう話ばっかりしてたけど、俺は余ったのを借りたりとかぐらいの感じだったからね。そこまで血眼にって感じじゃなかったね」
――自慰行為を1日3~4回するとかもなく?
伊「それすごいね。したくてもできなかった、そんなに。全盛期でも週2回とかだったよ、多分。調子いい時は週3~4回してた時もあったかもしれないけど。ヤルことなくて超ムラムラしてる時は(笑)」
――女性と付き合ったらヤれる、ヤリたいから付き合いたい、とかそういうのもないってことですね。
伊「そう。若い人はそういうのあるじゃん、周りはそんな奴いっぱいいたからさ。単純に会ってエッチしてっていうその繰り返しを楽しんでるような人たち。じゃその先考えてるかって言ったら考えてないからどっかで別れるみたいな。俺はあんまりそういうことに対する欲求がないから。最初からもう一緒に生活していて、自分にとってメリットがあるかとか、気を使わないとかいう人が現れない限り、付き合う感じにはならなかった」
――かといって別に、ひとりが1番いいっていうわけでも?
伊「でも基本ひとりがいい」
――では伊原さんにとっては、奥様といるこの婚姻期間は負担になってないんですか?
伊「負担でないことはない。ひとりでいたら絶対にストレスにならないわけじゃん、俺はひとりに対する耐性は結構あるから、ひとりが寂しいとかひとりがストレスっていうのは多分ならないと思うんだよね」
――でも?
伊「でも彼女といると負担以上に面白いこともあり。本当にペットとか子供みたいだから、『あ、人ってこういう反応するんだ』っていう(笑)。見てて面白い。初めて犬とか猫を飼った時も『あ、意外と面白いな』みたいな感じはあったけど、奥さんと暮らしだした時もそんな感じ」
――へえ……。
伊「なんかこう、見てて微笑ましいみたいな感じ」
――微笑ましい? 嫁が?
伊「面白いみたいな」
――他の女性だったらそうはならなかったと思いますか?
伊「他の女性とそこまで深く付き合ったことないからわからないけど、そうだね。ならなかったかもしれない。それ以上にこっちも気を使わないといけないから、そんな観察して楽しんでる余裕はなかったかもしれない」
――そうなってくると、知らない人とするとか不倫するとか性風俗を利用するっていうのは、あまり考え付かない?
伊「そんな積極的にはいかないと思うよ。時々、誘われたら行きますとかさ、あるかもしれないけどさ。今となってはリスクのほうが高いからね、もしそれがバレた時には」
――具体的にはどういったリスクですか?
伊「奥さんがどれくらいキレるかわかんない。もしかしたら本当に刺されるかもしれないっていうくらい、彼女の俺に対する思いが強いわけだから。同時に、『これだけ思ってる妻を蔑にして何なの?』と彼女は傷つくだろうし、裏切られた時の怒りは相当なモノだっていう気はする」
――怒り・絶望、からの包丁持ちだす系ですか?
伊「自傷よりは他傷にいきやすいと思う。でも自傷っぽい行動を取ろうとしたところも目の前で何回か見てるから、だんだん『なるべく怒らせるようなことはしない』ってなるよね、俺も」
――奥様の激情型のところと、気を使わない楽なところが両立してるのが意外ですよね。
伊「そうだね。それは俺じゃないと務まらないと思う。一発、彼女の逆上してるところを見せられたら普通の男は引くと思うし(笑)」
――でしょうね。
(水品佳乃)