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ハート・ウォーズEP 愛情たっぷり一汁三菜、幻影的国民食の逆襲

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(C)柴田英里

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 今年の夏は、甲子園のおにぎり女子マネージャーや、24時間テレビのドラマに登場するみそ汁女子小学生が美談の物語として消費された。

 これらの話題によって、改めて、様々な国の様々な料理に容易にアクセスすることができる現代日本においてなお、「米とみそ汁中心の食事」「一汁三菜」といった“古き良き日本食”とされる食事は、「陸軍兵は一人一日精米6合」みたいに特別な地位を持っているのだなあと思わされる。

 Wikipediaによると、近年よく耳にするようになった「食育」は、国民一人一人が、生涯を通じた健全な食生活の実現、食文化の継承、健康の確保等が図れるよう、自らの食について考える習慣や食に関する様々な知識と食を選択する判断力を楽しく身に付けるための学習等の取組みを指すそうだ。

 2005年に成立した食育基本法においては、食育は生きるための基本的な知識であり、知識の教育、道徳教育、体育教育の基礎となるべきもの、と位置づけられている。単なる料理教育ではなく、食に対する心構えや栄養学、伝統的な食文化、食ができるまでの一次産品および二次産品の生産についての総合的な教育のことであるらしい。

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柴田英里

現代美術作家、文筆家。彫刻史において蔑ろにされてきた装飾性と、彫刻身体の攪乱と拡張をメインテーマに活動しています。Book Newsサイトにて『ケンタッキー・フランケンシュタイン博士の戦闘美少女研究室』を不定期で連載中。好きな肉は牛と馬、好きなエナジードリンクはオロナミンCとレッドブルです。現在、様々なマイノリティーの為のアートイベント「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」の映像・記録誌をつくるためにCAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中。

@erishibata

「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」