
Photo by Alan Ant from Flickr
9月7~10日、韓国ではチュソク(旧盆)の連休。親戚大集合で朝からチェサ(法事)の儀式を行うため、どこの家の嫁も大忙し。以前、当連載「女性の不満が噴出し、離婚の危機も…。韓国の“旧正月あるある”」でもお伝えしたが、祭壇に供える大量の料理を準備することは、〈修行〉〈試練〉と言われるほどに過酷で、そこに親戚相手の気疲れとストレスが重なって、心身ともにボロボロになる人が続出。「毎年チュソクが近づいてくるだけで憂鬱になり胃がキリキリしてくる」ーー韓国人の嫁ですらこう言うのに、外国人の嫁はどれほど大変なことだろう。
4年前に留学先のカナダで出会った韓国人男性と結婚した日本人のヨシミさん。現在35歳、旦那は5歳年下の会社員だ。
「もともと韓国に興味があったわけじゃなく、結婚が決まってから韓国に来たので、韓国の文化に驚かされることだらけ。結婚が決まって最初に会ったときから、彼のお母さんや親戚から面と向かって『そんな歳で子供産めるの?』とか『うちの息子みたいな年下のいい男を捕まえて、人生大当たりだ』とか本気で言われたことに驚きました。韓国人のデリカシーのなさと、韓国の母親たちの〈息子大好きっぷり〉は珍しいことじゃない、と後になって知りましたけど、でもほんと失礼ですよね」
と振り返る。「私のことが好きすぎて、しつこく追いかけてきたのはあんたの息子ほうだ!」と心の中で思いながらも、なんとか笑顔でその場を乗り切ったヨシミさん。そんな彼女も、韓国で迎えるチュソクは今年で4回目。「去年は地獄だった」とため息をつく。
ヨシミさんの彼の実家はソウルから車で2時間のところにあるため、ヨシミさんは前日から実家に向かい、食材の買い出しや料理の仕込みに追われた。
「正直言って、料理の準備は耐えられるんです。外国人だからわからないと思われているから、むずかしいことは頼まれませんし、他のお嫁さんたちもいるので、適当に手も抜けます。それよりも私が耐えられないのは、お義母さんはもちろん親戚からの『赤ちゃんまだ?』攻撃です」
まだ? と急かされるだけだったら、ヨシミさんはそこまでは怒りを感じなかったという。
「去年はみんながいる前で、お義母さんが『年齢を考えると、赤ちゃんができないのはヨシミに問題があるに違いない』って言い出したことから始まって、親戚からは『病院で検査してきなさい』とか『いい病院を知ってる』とか、ついには『赤ちゃん産めない身体だったら離婚してもらうよ』とか言われ放題……。あまりのひどい言葉に涙が出てきて、その場を離れてしまいました」
連日、義母から電話攻撃が
しばらくトイレの中にこもっていたヨシミさん。トイレにまで聞こえる親戚たちの話し声に、さらに腹が立ったという。
「ウチの旦那に向かって、『なんで韓国人の若い女と結婚しなかったんだ』って言ってるんですよ! で、肝心の彼はへらへら笑ってるだけ。私のことを心配してトイレまで様子を見にくるわけでもないし、親戚たちにガツンと言うわけでもないし……。呆れました。私だって赤ちゃんが欲しいのは同じ。考えてないわけじゃないのに、私の気持ちを無視したデリカシーのない発言が許せませんでした」
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