【第一回:私はいかにしてビッチになったか~蜜柑の恋 地元編】
【第二回:彼氏以外の場所を失って。過熱する初恋~蜜柑の恋 地元編】
【第三回:浮気と暴力と束縛と~蜜柑の恋 地元編】
再びの暴力行動
アキからは男性を含む仲間同士と遊ぶことを禁止されていたが、ある日、どうしても友人同士で集まる場に行きたくて嘘をついた。
――今日は仕事が終わったら実家に顔見せに寄ってから終電で帰るね。
軽く了承されたので罪悪感を感じながらも、久しぶりに仲間と酒を飲む場へ行ったらとても楽しかった。アキとの同棲生活について話すと、その場の全員が「おかしい」と言った。「普通じゃない」「別れたほうがいいよ」とも。淡い不安を感じていたが、友達の同意を受けて、アキに束縛される生活がとてつもなく怖いことのように思え始めた。
解散してアキの待つ家に帰ると、アキは夜ご飯も食べずにテレビゲームに没頭していた。私は洗濯機を回し、洗濯物を干す。軽く夜食を作ると、アキは当然のようにゲームをしながら黙々と食べた。自分がアキの世話をするだけの家政婦のように思えた。幸せだと思っていた日常が、「普通じゃない」のかもしれない。友人の言葉がぐるぐると頭を反芻し、異常に縛られた生活に気付き始めた。
真夜中に叩き起こされた。
アキ「なんだ、これ」
眠い目をこすりアキの手を見やると、私の携帯電話のモニターが光っていた。その日、仲間同士で撮った写メが友人から送られてきていた。そこにはもちろん私の姿も、男友達の姿も映っていた。私が眠っている間にアキが私の携帯を盗み見たのだ。
――……! ごめんなさい。
アキ「嘘ついたな、お前」
髪の毛を根本から引っ張られ、壁にゴツンと頭をぶつけられた。とても大きな音がした。一瞬、何が起きたのか分からずに見開いた目に、握られた拳が飛んでくる。すぐに痛みを感じた。
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