2013年6月にオープンした女性向け情報サイト「messy」。その当初から連載コラムとして週2回更新していた大和彩さんの『失職女子』が、このたび一冊の本にまとまりました! タイトルは『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで』(WAVE出版)。連載時の内容に大幅加筆し、読み応え十分のボリュームとなっております。
正社員として働いていたが、会社が倒産した。
派遣社員として働いていたが、契約を切られ、新しい契約先も見つからない。
アルバイトとして働いていたが、体調を崩した。
誰の身にも起こり得ることです。
私たちは、親や配偶者に扶養されていない限り、何らかの職に就いて働くことで金銭を得て日々を生活しています。しかし、誰でもいきなり事故に遭ったり病気にかかったりで働けなくなる可能性はあります。会社の業績が振るわず、リストラ対象になることもあります。職場環境に嫌気がさして退職したものの、転職活動が思うようにいかずに「無職期間」が長引いてしまった経験のある方も、読者の中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
だけど大抵の場合、「親に頼れば」「実家で暮らせば」「結婚すれば」、女性はなんとかなるはずだ。と、日本社会では考えられているように思います。しかし「親に頼れない」「配偶者に扶養してもらえない」「実家がない」といったケースもあるのです。「家族に頼ったり、バイトで頑張ればいいのに、働かず生活保護なんかでラクしやがって!」と、生活保護受給者がバッシングされる“ブーム”もしばしば巻き起こります。貧困を自業自得と捉え、「せいぜい苦しめよw」と嘲笑するような声さえ目にします(声なのに目にする、というのも不思議ですがインターネットではそうですよね)。
では、病気を患い、家族の援助を受けることもできず、就職活動を続けても100社受けてすべて落ちてしまった大和彩さんは、どうしたのか? それは『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで』でご確認ください。特徴的なのは、生活保護を「受給するまで」だけでなく、「受給している現在」のことまでしっかり描かれていること。どの程度のお金を得て、どうやってやりくりしているのか。ほとんど知られていない生活保護受給者の日常的な生活が描写されている点は、貴重ではないでしょうか。
深刻なテーマにもかかわらず、軽妙な筆致でテンポ良く(かつ、落ち込まずに)読めるところ、また、小山健さんのユルく可愛らしいイラスト&4コマが柔らかさをプラスしていっそう手に取りやすくなっています。
貧困問題に直面している人のみならず、すべての人に読んでもらいたい。面白くて役に立つ一冊となっております。どうかお手に取ってくださいまし。
(messy編集部)