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西内まりやは、なぜ10代女性の「なりたい顔1位」に選ばれたのか?

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化粧で「西内まりやの顔」になれるのか

 20代~40代のランキングに登場する綾瀬はるか、新垣結衣、柴咲コウ、深田恭子、そして安室奈美恵……といった息の長い美女たち(綾瀬はるかを美女とするかどうかについては議論の余地があると私は考えておりますが)のなかで、西内まりやは、まだ戦えそうにありません。伸びしろはあるかもしれませんが、今の彼女がトップ美女の立ち位置に上りつめているとは言えませんよね。ではどうして、10代の女の子は西内まりやの顔になりたいのか。どうして北川景子ではなく、西内まりやなのか。

 もちろん、ただ単純に10代の女の子にとって歳の近い芸能人が憧れの対象になりやすい、というのもあるでしょう。しかし、もっと深い理由として、彼女たちは「『なりたい顔』は『なれない顔』であることを知らない」のではないでしょうか。

 「なりたい顔」に誰もがなれるわけではない。これは当然の事実です。西内まりやが10代の女の子たちにとって、とても親しみを持てる顔だったとしても、彼女たちが容易に「メチャクチャにスタイルの良いリス」になれるわけではありません。彼女たちも自分ではおそらくそれを理解しているつもりになっている。けれども、本当には理解していない。むしろ、心のどこかで、あるいは無意識下において「頑張れば、私も西内まりやになれるかも……」という欲望がうごめいているのです。巧妙なのは、ハーフモデルのような「絶対になれない顔」は選ばれないことでしょう。要するに、10代の女の子が憧れる「なりたい顔」とは「なれそうでなれない顔」ではなく、「なりたいけど、なれない(とわかっているつもりだが、なれるかも、と思わせる)顔」なのです。

 この複雑な憧れは、成長とともに「私は◯◯の顔にはなれない」、「私は私の顔にしかなれない」という明確な気づきを得て、失われていきます。自分の顔には限界がある。そのハードルを超えるには、顔にメスをいれるしかありません。美容整形によって、顔はいくらでも変えることができる……。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra