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西内まりやは、なぜ10代女性の「なりたい顔1位」に選ばれたのか?

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美を求めると「同じ顔」へ向かう

明日花キララのbefore→After(左:『絶対コス!』h.m.p/右:明日花キララ公式Twitterより)

明日花キララのbefore→After(左:『絶対コス!』h.m.p/右:明日花キララ公式Twitterより)

 最近、「顔が変わり過ぎてもはや別人」と話題のAV女優の明日花キララの存在などは、その可塑性を示してくれるでしょう。彼女のブログを見ると、近影と過去の出演作のパッケージ写真とで顔がまったく違うため、驚怖を覚えるほどです。本人が告白しているわけではありませんが、彼女の顔にはおそらく何度もメスが入っているでしょう。

 近影を見るかぎり、明日花キララが目指している顔は、板野友美に近いものがあります(その板野友美、は安室奈美恵への憧憬からあの姿になっているわけですが)。しかし、具体的に誰が誰を目指しているのかよりも、美容整形を受けていると噂される女性芸能人の顔が、どれも似て見えることのほうが興味深い。彼女たちは「××みたいな顔になりたい」と望んで施術を受けながらも、結果的に「特定の誰か」ではなく、「目が大きくて、鼻筋が整っていて……」という「美しい顔の元型」に向かっているかのように見えます。

 こうした傾向を鑑みると、西内まりやの顔になりたい10代の女の子が、実際に自分の顔にメスをいれるとしても、西内まりやの顔が量産されることにはならないでしょう(想像するだに恐ろしい事態ですが)。整形するならば、彼女たちもやはり「美しい顔の元型」を向かうのではないか、と。そうした点からも「10代女子がなりたい顔 No.1の西内まりや」という存在は、とても複雑な感情の集合体のように思えるのです。

 なお「なりたい顔ランキング」の男性版は、5年連続、福山雅治が1位なんだとか。男性の欲望ってわかりやすいですよね。

■カエターノ・武野・コインブラ /80年代生まれ。福島県出身。日本のインターネット黎明期より日記サイト・ブログを運営し、とくに有名になることなく、現職(営業系)。本業では、自社商品の販売促進や販売データ分析に従事している。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra