たとえばさりげなく彼氏の有無を察するテクニックとして「週末の話題に『誰と』がない」女性は、高確率で彼氏持ちだそうです。著者曰く、会社でプライベートなことを話したがらない女性は多いから、彼氏がいる女性の週末の話題には「誰と過ごしたか」という情報がなくなってしまう。彼女は「(彼氏と)遊園地に行ってました」と括弧内を飲み込んだかたちで話すわけです。それが普通の友達と行っていたなら「友達と遊園地に行ってました」と言うはずだ、と。
たしかにこれは男女の性格の違いがでそうな部分です。男性に同じ質問したらサラリと「こないだの日曜は、彼女と久しぶりにディズニー・ランド行ってました」と答えてくれそうです。しかし、男性でも会社でプライベートを話したがらない人はいるでしょう。その場合は、やはり「(彼女と)遊園地に行ってました」と答えるハズなのです。
こうした相手の言葉から隠されている意味を読み取るテクニックのほか、基本的なコミュニケーションの積み重ねで距離を縮めていくことを本書は重視しています。社内恋愛には合コンのような瞬発力は必要ありません。じっくり自分を知ってもらうための持久力が社内恋愛では重要だ、と著者は言います。また急に距離を縮められる近道はありません。結論を急がず、階段を上るように一歩一歩関係を築く必要があります。
綾野剛先輩に言われたい台詞
もちろん、本書のアドヴァイスには、あまりに基本的なことしか書いていないため、参考にならないという意見もあるかと思います。例えば、女性に好かれるタイプ・嫌われるタイプを記している箇所では、すぐに他人を批判する人はダメ、自分の都合ばかり考えている人はダメ、褒め上手はモテる……などの記載がありますが、そんなの当たり前じゃん! と思う人が大多数でしょう。しかし、基本だからこそ、自分を反省するきっかけを与えてくれもするのです。それは恋愛に限らず、会社における普通のやりとりにも有効だと思いました。私自身「あ、人に対してこういう褒め方をすると自然なのか」と学ぶところがあります。
ここで、女性を褒めて、さりげなく距離を近づけていくキラーフレーズとして本書で記されている言葉が、必殺技っぽいので、ご紹介しておきましょう。
「僕は好きですよ、◯◯さんの企画」
どうでしょう。これだけですとピンとこないかもしれないので、僭越ながら私が具体的なイメージを添えさせていただきます。このフレーズはこんなときにでてきてほしい。
(妄想スタート)
わたし(北乃きい)は赤坂のITベンチャー企業に勤める2年目の若手社員。今日は役員に自分の企画をプレゼンする重要な会議。先輩男子(綾野剛)と相談しながら、ずっと温めてきた内容には自信があった。先輩も「きっと上手くいきますよ」と応援してくれて臨んだ会議だったのに、役員の反応は厳しく、さまざまな宿題をもらって企画の採用には至らず。
落ち込んで自席に戻り、先輩に「ダメでした……」と報告すると、反省会名目で飲みに誘ってくれる。
「え、2人でですか?」
仕事ができて優しく教えてくれるけれど、いつもはクールで、ちょっとミステリアスな雰囲気がある綾野先輩と2人で飲みにいくのは正直緊張する……(しかも、先輩なのに敬語を使ってくる距離感)。しかも先輩、カッコ良いのに鉄道オタクだって言うし……会話になるかな……。