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バブリ~スマイルと清潔ヌード、80年代アイドル安原麗子の美魔女力

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美人であれば、乳はいらない。の代表格とも言える(『Reiko―安原麗子写真集』ワニブックス)

美人であれば、乳はいらない。の代表格とも言える(『Reiko―安原麗子写真集』ワニブックス)

 今週、驚いたことと言えば、前回取り上げさせていただいた小島聖嬢が離婚していたという事実。衝撃的でした。聖嬢のブログから見え隠れしていたロハスな生活が、今はどうなっているのか。離婚したにも関わらずドラマ『ファーストクラス』で、より艶やかさが増しているのは新たな殿方がいるからなのか。役に没頭しているのだけなのか……まあ知りたいところではあります。

 閑話休題、別冊宝島シリーズの名作に(といってもほとんどが名作)『80年代の正体』というものがあり、その中に未だあちこちで語り継がれているコピー「80年代はスカだった」(by大月隆寛さん)という言葉がありますが、ここで一考。

 果たして80年代は本当にスカだったのか?

 もちろん、この場合のスカとはスカパンクとか、一部のマニアが好きなスカ○○(知恵比べの宝庫であるSM文化を「汚らわしい」と一刀両断した議員さんが、泡を吹いて倒れそうな単語だけど、じゃあ職業に貴賎はあるの? って話)というジャンルの意味ではなく、スカスカだったという意味で使われている。しかし、80年代と言えば、現在のPerfumeやきゃりーぱみゅぱみゅに受け継がれているテクノポップに始まり、空前のお笑いブーム、カリスマゲーマーの誕生、オタク文化、ホイチョイプロダクションズなど、たくさんのサブカルチャーが花開きました。さらには聖子様、明菜様、キョンキョン様などの、伝説のアイドルたちも、マドンナもマイケルもシンディーも、BOOWYもレベッカもアンルイスのゴージャスな歌謡ロックもぜ~んぶ80年代!

 ちっともスカスカな感じはしないのに、なぜか「80年代はスカだった」という名コピー(!?)が出たとき、出版業界に妙に納得する風潮が現れたのも、また事実。その後しばらく「80年代はスカだった」という言葉は様々な雑誌で引用されてました。なぜ? 一見、無駄に思えるハイテンションな明るさが原因?

 そんな80年代後半に登場したのが、安原麗子(以下REIKO)がセンターをとっていた少女隊。クラスにいたら確実に一二を争いそうなルックスのREIKOと、モデルのような美貌のMIHOの2人を中心に、ヘルニアで脱退したCHIIKO、その後新メンバーとして加入したTOMOの3人組で、平成不景気のまっただ中の現在では考えられない30億という大金を懸けられてデビューしたアイドルグループ。30億円も懸けてデビューしたのに、なぜか初のテレビ出演が『ひょうきんベストテン』だったという、後半の迷走ぶりを予感させるいたいけな少女たち。

 ルックスの可愛さもさることながら、なんと言っても「Forever」などの楽曲の素晴らしさと、良質な歌声に特徴があり、当時のLIVEをYouTubeなどで見直すと、その何とも言えない魅力的なウイスパーボイスはREIKOのものだったことが判明。彫りの深い美人顔に加えて、どこか寝物語を想像させるささやき声という天に2物を与えられたREIKO。

 40代になり、久々にテレビに登場した際にも、日々美容に多大な時間を割いているであろう美魔女たちの、アイデンティティーが一気に崩壊しかねない「自然体なのに美魔女なんです。えへっ」というお姿を世間に見せつけていました。きっと本人は見せつけるつもりなど毛頭ないのに、世の女性たちに“見せつけられた感”を持たれてしまう。今までも、そしてその美貌が衰えない限りいつまでも、行く先々で渦巻くであろう感情のひとつかもしれません。

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阿久真子

脚本家。2013年「八月の青」で、SOD大賞脚本家賞受賞。他に「Black coffee」「よしもと商店街」など。好きな漢は土方歳三。休日の殆どを新撰組関連に費やしている。