さて、バイブレーターの世界には〈射精するバイブ〉というものがあります。ジャンルとして成り立っているほどではありませんが、しばしば見かけます。たとえば↓のような感じです。
ボディにスポイトがくっついていますね。ここにあらかじめローションを仕込んでおきます。そして、バイブを使いながらスポイトをピュッピュッと押すと、先端に施された尿道口のような切れ目から、精液に見立てたローションが発射されるというわけです……ア・ホ・ら・し・い~~~~!!
これでエロ漫画よろしく「あ、出てる! 奥に出てるの~!!」と女性に言わせるのが定番のプレイだと思われますが、いやいや、そもそも中で出ているかどうかって女性にはわかりませんから。射精のとき男性のペニスが脈動するのはわかっても、液体が出ているかどうかは、わかりませんよね。バイブは振動しますから、さらに感知しにくいでしょう。
この手のおもちゃを私は〈演技強要バイブ〉と呼んでいます。ローションの発射を「まったく感じない」と言ってしまっては、わざわざお金を出してこれを買った彼の立つ瀬がありません。その気の毒さに、ちょっとぐらい演技してあげてもいいかな……と女性が思ってしまうのも、いたしかたないことです。
さらに、このバイブに付属のローションには「抗菌・消臭・保湿作用のあるものも含まれているため 使えば使うほど女性としての魅力もアップ」するそうです。なぜそれらの作用があることで女性の魅力が増すのか、さっぱりわかりませんし、女性の膣内=粘膜はとてもデリケートですので、得体の知れないジェルで常在菌を殺すことは、まったくオススメできません。
今回は女性にとっての〈性のエンタメ〉を考えようと思ったのに、ますます〈女性のオーガズムは男性にとってエンタメである〉〈それどころか、己の射精までも女性を媒介にしてエンタメにする〉という男性の傾向をあぶり出すに終わってしまいました。あーあ。
■桃子/オトナのオモチャ約150種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。ブログ、twitter
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