――2人のお話を聞いていると、他の夫婦に比べてかなりの頻度で喧嘩をしているようですが……?
ミキ「喧嘩は場所も時間も選びませんよ。街中だろうが子供の前だろうがお構いなしです。お互いに溜め込んでいると、相手は何が不満なのかわからくてイライラしますから」
――子供の前でも大喧嘩! 子供には影響ないですか?
ミキ「子供は私たち夫婦が喧嘩した後はラブラブなのを見ているので、喧嘩は2人が仲良くなるためのひとつの過程として見ていると思います」
博「夫婦だって別の人間だから、不平不満があるのは当たり前。自分も言いたいことはあるし、言われることもある。でも結果的に結婚して15年になるけど、喧嘩をしっかりして正直に話していることがセックスレスになっていない1番の理由だと思います」
ミキ「喧嘩の後はセックスをして仲直りするんです。言葉でやりあうと泥沼になるし、自分から折れるのは嫌だし、じゃあセックスで仲直りしちゃおうって。セックスすると男も女も怒りは収まる。『スッキリしたから少しは考えるか~』って思っちゃうんです」
1:喧嘩をしても諦めずに不平不満を細かく伝え合っていく
須坂さん夫婦が今でもラブラブで、夫婦にとって1番大切なフレンドシップが築けている理由は「細かく喧嘩をする」という一見ラブラブとはかけ離れた形を取りながらも、丁寧にコミュニケーションを取っていることだと思います。大切なのは、一方が文句を言うだけでなく、お互いがお互いに不平不満を“伝えあっている”ことです。これは、夫婦だけでなく、職場や親子関係でも言えるでしょう。
またお互いが感情的になることを許し合っているところも重要です。人間は完璧でないので、時に感情的になることもあるでしょうし、他者が感情的になっても、「当たり前」と許容していることが大切だと感じました。
2:お互いの役割に感謝をしている
博さんは言葉にはしていませんが、ミキさんに対して「3人の子供を育て、家を守ってくれていることに敬意を払っているんだな」と感じました。そうでなければ、寝る時間を惜しんで、ミキさんの話を毎日聞くなんて難しいことですよね。
そしてミキさんも、パートをこなし、3人の子供にお夕飯を食べさせて寝かせた後、博さんの帰りを寝ずに待っています。須坂さん夫婦はお2人共、精神的に成熟していて「夫婦は所詮、赤の他人であって、関係性はもろいもの」という共通認識を持っています。なので夫婦が仲良く過ごすためにお互い努力をしていて、それが子供のため、家族のためになるという考えを持っていました。
3:その時、伝えたことが今わからなくても後で伝わるという大らかな心
妻のミキさんが言った「喧嘩には、その時わからなくてもいいという呑気さも必要」という言葉にも頷けました。女性と男性は思考のプロセスが違うので、女性にとっては重要なことでも男性にはその重要性がわからないことも多いようです。そのため、「わかってもらえない」という気持ちが膨らんでいくと、パートナーとセックス出来なくなる。「男性は女性より2歩遅れて感情を理解する」と言われています。大切なのは男性に伝えることを諦めないことだと思います。何度も何度も諦めずに伝えていくというミキさんの姿勢も博さんの心に響いたと言います。
セックスレス問題とは表面的な問題で、セックスレス夫婦の課題は日頃のコミュニケーションの取り方にあることを実感した取材でした。そして、取材させていただいた私自身が学ぶことも多く、人前で喧嘩をすることが苦手な私は、わが身を振り返ることが出来ました。
■荻原かおる/http://healing49.com/
1 2