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中国製のダッチワイフが古くさすぎる…これに欲情できるのはどんな人?

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ツッコみどころしかない工場風景! 英「Mirror」記事より

 ラブグッズの世界では中国市場の勢いが止まらない、という話をよく耳にします。人口や景気を考えると巨大マーケットであることは、ほかの業種と同じですね。世界の名だたるラブグッズブランドも中国に工場を構えていることが多く、そのぶんすぐデザインをパクられたりはするそうですが、それも中国国内のラブグッズへの関心が高いひとつの証左となっています。

 国内でもその一端を目の当たりにできますね。秋葉原界隈の大型ラブグッズショップに行くと、中国人観光客の姿を非常によく見かけます。中国のショップ事情はまったく知りませんが、おそらくそれらのショップほど大型でオープンなものはないのでしょう。AVからH系のコスチューム、バイブやオナホなどのグッズまで隈なく見て回る中国観光客、という光景はいまやめずらしくありません。

 そんな中国で「ラブドール」の生産がひときわ盛んになっている、というニュースを見つけました。寧波市のある工場では、高まるばかりの〈ラブドール熱〉に応えるべく、日々大忙しでドールが生産されているのだとか。しかし、写真を見たところ、そのドールというのが何ともレトロ!!

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 ビニール素材で風船のように膨らませるだけ。日本人からすると昭和テイストむんむんというか、いかにもダッチワイフというか、南極2号的というか、とにかく顔の表情や肌の質感にまでこだわり抜いたオリエント工業のメイドインジャパン・ラブドールとは雲泥の差があります。ボディにオナホールをセットする、という基本の使用方法は変わらないようですが、セット位置がおしりのど真ん中にあったり、作りがずいぶんと雑です。

 でも記事にはこれが中国国内のみならず、日本、韓国、トルコにも出荷されているとあります。こんなにチープな作りのラブドール、日本でも需要があるんだー……と思いますが、たしかに誰もがオリエント工業的な高額ラブドールを求めているとはかぎりません。

グッズに必要なものは想像力

 それどころかリアリティはいらないというラブドールユーザーも相当数いるようです。私が驚いたのは、以下の商品でした。

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売れに売れている「ラブボディ aki」ちゃん。

 パッケージには美少女(超ロリ系!)のイラストがありますが、本体は透明なただのビニール。別売りで下着やコスチュームはたくさん用意されているものの、顔はないし、肌の質感云々は議論するのがアホらしくなるほど、無機質な作りです。最初は「えっ、これで抜けるの!?」と度肝を抜かれたものですが、このakiちゃんが文字どおり無色透明な存在だからこそ、ユーザーは想像を広げられるんですね。

 私の好きな映画のひとつに『ラースと、その彼女』という作品があります。やさしいけど内気で不器用な男性・ラースが、ある日ラブドールを購入。それからはどこに行くにも〈彼女〉と一緒です。家族や職場の人、街の人にまで「僕の恋人です」と紹介してまわるものだから、みんな戸惑ってしまいます。でも、ラースにならって〈ひとりの人間〉として彼女に接するうち、誰もが彼女を受け入れ、そしてやさしい気持ちになっていく……というハートウォーミング・ストーリーです。

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いい話なんです。Amazonより

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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