本屋には、〈異界〉の入り口が星の数ほど存在します。この連載では科学的根拠のない健康法や文化のことを総称して〈異界〉と呼んでいるのですが、毎月9日に発売される月刊誌『anemone(アネモネ)』には、本来の意味での異界がぎっしり。発行部数は少ないだろうけど、本屋に点在する異界のなかでも、突き抜けたオーラが放たれています。

Amazonより
「ココロとカラダを元気にする」をテーマに最先端のスピリチュアル情報が掲載されている『anemone』は、まず、どの号を手にとっても特集タイトルに使われている用語が謎だらけ!(専門誌は総じてそんな感じではありますが)。たとえば今月号の特集は次のとおりです。
【特集・異次元に暮らす高次存在へのインタビュー! 空洞地球の存在からのメッセージ】
・アダマとテロスから アセンションへ向かうあなたへ
・空洞地球の存在は語る
【特集2・毎日がバージョンアップ! 心身を輝かせる欲張りケア】
・フォトン体質の作り方
・画期的な発明を天界と宇宙がサポート! 最先端ボディケア「水素吸引」健康法
・太古の地球の地層から抽出したフルボ炭酸水のパワー
これらのタイトルを見て「コレ最近気になってた~☆」「参考にしたい!」となる人が、一体どれくらいいるのでしょうか。怖いもの見たさで手にとってみるものの、私にはなじみのない用語ばかりで、眺めていると怪しい呪文のようにすら感じられます。あ、唯一聞いたことがあるのは「水素吸引健康法」。たしかネット上で「コレって結局ただの水蒸気じゃね?」と論議されていたヤツですね。
いずれにしても、読者ターゲットはディープなスピリチュアルマニアであることは間違いないようです。さて、一体その内容とは!?
地球の内側に空洞がある!?
まずは第1特集「空洞地球の存在からのメッセージ」です。空洞地球=地球の中は空洞になっていて、別世界につながっているという考え方自体は、宗教などのあいだで古くからあった世界観ですね。記事ではその中に、現代文明よりもはるかに高度な文明を持つ種族=レムリア人が存在していると説明されています。彼らが人類の進化を願いメッセージを送ってくるので、霊的ワークに勤しむチャネラー様たちがその思いを代わりに伝える、というものでした。
ちなみにエネルギー体である(!)彼らと普通の人は交信できません。3次元から5次元へ上衝する〈アセンション〉ができるようになることが必要なのだとか。
はい、記事の印象としては〈品のいい電波系〉です。そんなことを言う私はすでに、空洞地球の存在から拒否されているのかもしれませんが。企画の趣旨は直接的には語られないものの、推測するに〈環境破壊など人類滅亡の危機を前に、レムリア人にパワーを授かり今こそ立ち上がろう!〉という感じでOK? それならついでに、出版不況も救っていただけるとありがたいです。もちろん高尚なメッセージだけではなく、このエネルギーを感じるための「ワークセッション」(2時間8,000円)のインフォメーションも掲載されています。ここで一気に俗っぽい香りが漂いますが、私はそこに安心感を覚えます。