これよりさらに厳しい現実を示した男性向け婚活指南本もある。富山県の結婚相談所所長・西田昌史さんの『3カ月で結婚できる おとこの婚活本。』(ダイヤモンド社/2010年)だ。こちらでは、「将来的にはいつか結婚できるだろう」と楽観視している男性に対して「そんな考えでは、できない」と鞭打っている。
現在30~40代の男女が子供だった頃は、大人はみんな結婚しているのが当たり前の時代だった。そんな親世代を見ているから「自分もできるだろう」と思い込んでいる。だが親世代、そのまた上の祖父母世代は、必ずしも恋愛結婚だったわけではなく、周囲に勧められてなんとなく……で結婚を決め、家族となった人たちが多い。世話焼き仲人がすっかり減少した現代で、恋愛下手な人が「そろそろ結婚適齢期だな」と自覚したとしても、正しいメソッドで動かない限り結婚はできない、と同書でははっきり書かれている。
「行動しなければ、成婚しない」このことを前半で肝に銘じたうえで、お見合いパーティーや結婚相談所で「女性から結婚対象外にされないため」の振る舞い方や、外見改造術が事細かに記されている『3カ月で結婚できる おとこの婚活本。』。確かにこれを真面目に実践すれば、相手女性からはそこそこ悪くない男性に思われて、成婚に結びつくかもしれない。ただ、あくまでもここにあるのは「結婚“まで”のアプローチ」であり、忠実に実行していた人ほど、結婚後に夫婦間の溝が一気に開いてしまう危険がある。それはなぜか……ひとことで言えば、「釣った魚に餌はやらない」方式だからだ。ここに書かれているアドバイスの是非についてを、次回、なるべく丁寧に考えていきたい。
(下戸山うさこ)