見た目は年齢不詳な志村さん。34歳だそうですが、もっとすごく若いようにも見えるし、ずっと上にも見える。シャレた無精ひげを生やし、ひょうひょうとした佇まいの彼のお仕事は、会社所属のグラフィックデザイナーです。前回ご登場いただいた加賀さんの「仕事上の知り合い」としてご紹介いただきました。感謝です!
ヒモになりがち
志村隆臣さん(仮名)
年齢:34
家族構成:一人暮らし
自宅間取り:1DK
職業:グラフィックデザイナー
比較的小柄ながら精悍な体つきの志村さん。失礼かもしれないですけど、田中邦衛をかっこよくモテそうなオシャレな感じにした雰囲気だと思います。

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――今回は事前情報が全然ないので、志村さんの経歴からお伺いしてもいいでしょうか。
志村「はいはい。四国出身で、大学は関西の方で、経済系の学部でした」
――あれっ、全然デザインと関係ない学部なんですね。
志村「そうなんですよね。周りは税理士とか会計士になってるんですけど。でも僕は大学の時にクラブイベントをやっててフライヤー作ってたんですよ。それで独学でデザインを覚えて、卒業してからはフリーでデザイン仕事を請け負ったりして。最近初めて会社員になりました」
――ずっとフリーで? よくそれで生計を立ててこられましたね、すごいですね。
志村「いや……というか僕ちゃんと働いてないですよ。24歳で東京出て来てバイトとか派遣とかしつつ」
――大学卒業前に、就職活動しなかったんですか。
志村「そうですね。卒業して2年くらい京都でバーテンやってて、その後、旅行で一カ月くらいキューバ行って。で、東京でもレゲエ広めようかなみたいなノリでバイクで東京に来てルームシェア始めたんです。結構大変でしたね~」
――東京でもレゲエ広まってたような気がするんですけど。ルームシェアはサイトとかで募集してるやつ?
志村「ですね。10年くらい前なんで当時シェアって流行ってなかったですけど、シェアサイト使って『僕レゲエ好きです』『うるさいです』『レゲエ好きな人がいいです』と書き込みして。そしたら、ストリッパーの女の子が、『私は全国旅芸みたいなのやるんで、荷物置けてたまに帰る場所だけあればいいです』と書き込んで、『あ、いいですね』って意気投合して3~4年くらい一緒に住んでました」
――男女でですか。間取りは?
志村「1LDKでしたけど、僕はLDKでしたね。パーテーションだけで仕切って。家賃折半でお互い5万で。都心ですごいアクセスのいいところだったんで、ちょうどよくて。新宿で毎月イベントしてたんですよ」
――毎月イベント? レゲエの?
志村「そうです。あとはバイトでオーディオショップの店員やってました。お店で自分のmixCDをかけて、お客さんが興味を示してくれたら『どうぞどうぞ』ってCD配って、連絡先も教えて『イベント呼んでください』って営業してました。結構頑張ってましたよ。フライヤーも自分で作ってたし。で、その後もいろいろしてたんですけど、流れ流れて最近会社員に」
――四国でUターン就職することは一度も検討しなかったのでしょうか。
志村「ん~~~でもねえ、四国でデザインの仕事あんまりないじゃないですか。大学から京都だったし、実家帰っても、ねえ。うち家庭も複雑なんですよ。実のお父さんがどんな人かも知らないし」
――お母さんはシングルマザーだったんですか?
志村「はい。オカンが大学生の時に未婚で僕を産んで。赤ちゃんの時、僕、大学に連れてかれてたらしいですよ。でも相手の男性と籍入れてないんですよね。数年後に弟が産まれたんですけど、その時は籍入れたんかな。で、僕は弟の実父が自分にとっても親父だと思ってました。パスポート取得にあたって戸籍を確認するまでは(笑)」
――確かに複雑。
志村「でもオカンは恋多き女なんでね。僕が小3くらいの時に、弟のお父さんも家を出て行って、その後また別の人が来ましたね」
――お母さんは子供を抱えて大学を卒業して、それからずっと働いてたんですか?
志村「ずっとうどん屋で働いてましたね、今もですけど。でも小学校の時に、お母さんマンション買ってるんですよ」
――ええ、マンション買うってすごいですね、資金は一体……?
志村「さあ。夜の仕事はしてなかったですけどね、上手いこと誰かに援助してもらったんじゃないですかね。すごいですよね、そのパワーというかエネルギーは。今もオカンの新しい彼氏が実家に住んでるんですけど、その彼氏は自営業だそうでオカンは『仕事を手伝いたいからExcelを覚えたいの』とか言って。50代なのに、アグレッシブだなあって思いますよね」
――お母さんすごいバイタリティ。
志村「前にオカンより20歳年下の彼氏だったこともあって、『すげー若い人来たな!』みたいな(笑)。僕が中学の頃から大学進学まで、オカンの彼氏としてボクシング教えてくれた人は家に一緒に住んでたし“お父さん”って呼んでましたけど、僕が大学行ってしばらくしてからオカンから『もう生理的にあいつダメなの~』とか言われて。一緒のベッドで寝たくないとか。知るかよ(笑)」
――お母さん恋バナ息子にしてくるんですね。
志村「他にも何人かいましたけどね、お父さん」
――その都度、お父さんって呼ぶんですか?
志村「呼びますよ。面倒くさいですけど呼ばんとな、みたいな」
――そんなお母さんの姿を見て育ってきた志村さんの「女性への眼差し」がどんなものか気になります。
志村「僕は女性を尊敬してますよ。人類滅亡しますからね、女性がいないと。結婚もできればしたいし。まあ自分の家を見てるから、結婚するなら離婚はしたくないとは思ってますね。子供が気遣わんといかんのが面倒くさいから」