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性教育って何してたっけ? セクシャルヘルスの海を泳ぐ方法を知りたい

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どんな授業だったっけ? Photo by Phil Roeder from Flickr

 学校で受けた性教育、どんなものだったか覚えていますか? 私はふとしたときに、「これ、学校で習っておきたかったなぁ」と思うことがよくあります。その最たるものが卵巣の病気になったときでした。といっても学生時代のことなんですけどね。当時の私は女性としての自分の身体にまったく無頓着で、ほかが健康なんだから、子宮や卵巣も健康だと思い込んでいました。生理痛がやたら重かったにも関わらず。

 月経不順と不正出血とに気づいて病院に行き、病名がわかったときは茫然としましたね。何がショックだったって、名前は聞いたことがあっても、どういうものなのか、さっぱりわからない病気になったこと。ありふれた病気のひとつではあるのですが、知識がなかったので、未知の難病にかかったような気分でした。まさか自分にそんなことが起こるとは考えたこともなく、婦人科検診も一度も行ったことがなかったんです。

 多くの場合は1度の手術で済みますが、私の場合は諸事情があり1週間で2度、全身麻酔の手術をしたので、退院後もすぐに復帰せずしばらく療養していました。そのときベッドのなかでずっと、「こういう女性特有の病気について、学校でちゃんと教えてほしかったなぁ」と考えていたのです。今でも、お腹の手術痕(腹腔鏡手術だったので、とても小さいですが)を見るたびに、数カ月に一度ピルをもらいにクリニックに行くたびにそう思います。

 当時の彼氏は、入院中よく電話をかけてきました。私は田舎に帰り、入院していたのです。彼は何度も「早く桃子とヤリたいよ」と言っていました。えぇ!? 子宮や卵巣に針を入れてあれこれ手術した私に今、それ言っちゃう!?!? と思えるようになったのは、だいぶ後になってからです。当時は頭がうすらぼんやりしていたので、「うん、そうだね~」と曖昧に流していたし、どこかで彼にすまないという気持ちもありました。

 でも彼は、私がどんな病気をして、どんな手術をしたのかまったく知ろうとしませんでした。それよりも「今近くにいないからセックスできない」というほうを気にかけられていた……そのショックはじわじわと広がっていきました。それはもしかすると彼の愛情表現だったのかもしれません。「なんの病気かわからないけど、まぁ命に別状ないっていってるし、大丈夫っしょ」ぐらいの認識だったのもわかります。女性特有の病気は男性にとって〈得体の知れないもの〉でもあるのでしょう。ただ、彼のそうした面に一度気付いてしまうと、ほかのシーンでもどんどん気になることがでてきて、ほどなくしてお別れしました。

知識にバラつきがある。

 自分の身体に起きない病気のことまで積極的に勉強しようという人は、まれです。彼女や家族など身近な女性がそうなったら調べる人はいるでしょう。でも、病気の知識を得るチャンスを個人の体験を根拠にしてしまうって、すごくバラつきが出ますよね。義務教育で習うというのは、たとえ建前ではあっても、こうした個人間のバラつきをなくすもの……そう考えると、もっと病気のことを学校で教えてほしかった。まぁこれは女性特有の病気にかぎらずすべての病気について言えることなんでしょうけどね。日本人の死因第1位 がん、第2位 心疾患にしたって習うことはありません。自分や身近な人が困ったときに、個人が必死になって調べるほかありません。で、思うわけです。……保健体育の授業って、何やってたっけ? と。

 これほど内容を思い出せない授業もないですよね〜。融通のきかないガリ勉タイプだったもので、受験科目以外の授業もまじめに受けていたのですが、ほとんど記憶がありません。なんか怪我をしたときの応急処置的なことを習ったかしら……という程度です。

 性教育だけは別です。もちろん最初の記憶は、小学生のとき男女別々にきいた「女子には生理がある」「おしべとめしべ」というボヤ~ンとした話。すでに初潮はきていましたが、自分の身体に起きていることと、先生の話がまったくリンクできず、本当の意味での理解はできませんでした。先生が「おっぱい……“ちぶさ”のことですね」と最初に言い、ちぶさちぶさとあまりに連呼するので、その聞き慣れない響きに恥ずかしくなり、ずっと下を向いていました。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

@_momoco_

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