
「25ans (ヴァンサンカン) 2015年 01月号」ハースト婦人画報社
出版不況の時代にあり、唯一活況を呈しているといわれる女性誌市場。中でも、2002~07年にかけて廃刊が相次いでいたハースト婦人画報社はその後盛り返し、ラグジュアリー路線を推し進めてリッチな広告獲りまくり~の潤い満タンな雰囲気を漂わせています。そんな同社が毎月28日に発行している女性向けファッション雑誌『25ans(ヴァンサンカン)』。〈華やかで幸せな女性たちに、今の時代のゴージャスを体験するための情報を発信する、世界で認められたインターナショナル・ラグジュアリー・マガジン〉だそうで、ああ、庶民には縁遠い世界だな~と敬遠しているmessy読者も少なくないのでは。カバーガールは朝ドラで庶民の顔になった杏ちゃんなのに! そのめくるめく世界を、少しだけチラ見してみましょう。
『25ans』は1980年4月に創刊。間もなく35周年を迎える老舗雑誌のひとつですね。モテとかエロかわとか女子力とか雌ガールとかおフェロとか、女性誌はブームを作っては壊し、作っては壊しの賽の河原状態なのが特徴的ですが、同誌が一貫して提唱するのは〈エレガントな女性〉、エレ女です。『25ans』といえば、あの叶姉妹を生み出したTHE・ゴージャス系雑誌。25歳の女性へ向けて――と謳いながらも、ここで展開されるゴージャスな暮らしぶりを実現できる20代女性なんて裕福な家庭の子女くらいでしょう。実際の読者層は30~40代で自らバリバリ稼ぐ女性や(それも経営者や開業医でうまいことやってる層)、配偶者がめちゃくちゃ稼いでくる家庭の奥さん、既婚のキャリアウーマンが大半のようです。定期購読者の平均世帯年収は1700万円を越えるとのこと。
でもそんな人たちってもうテレビに出ちゃうレベルのリッチウーマンでしょ? いち会社員だったり、保育園とパート先と近所のマル●ツを往復する日々を送るわたしには関係ないわ~、と、思うなかれ。関係ないし一生領域が近づくこともなさそうな人々の生態を覗き見できるチャンスですよ? そう、1月号では『25ans』の“スター読者”が営むおしゃれライフを大解剖するという特別企画があるんです。同誌に脈々と受け継がれる、彼女たちの「エレガンス」を徹底調査し、「日々進化するエレ女の実態に迫ります!」と煽られたらチラッと拝見したくもなります。
大和撫子はもう古い
創刊した35年前の「エレ女」は、母として・妻として家族に愛されるのが一番という大和撫子を絵に描いたような専業主婦だったそうです。翻って現在は、「結婚しても、エレママになっても、自己実現!」だそうで、「子育てもきちんとするけれど仕事も続け、趣味も楽しみ、最新のファッションたビューティにも触れ、海外にも行き、チャリティガラにも出席する」。チャリティガラってのは、寄付を目的にしたパーリーです。
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