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総選挙投票に行く前に、確認しておきたい「アベノミクスとは何だったのか」

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『日本の決意』新潮社

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 きたる12月14日(日曜日)に、第47回衆議院議員総選挙がございます。すでに期日前投票を済ませた方もいらっしゃるでしょうか。

 選挙期間前、有名私大の学生が小学校4年生になりすまして衆議院解散にアゲインストするという出来事がありましたが、問題となったサイトの名前「どうして解散するんですか?」という疑問を抱えたまま投票日を迎えようとしている人も、実は多いと思います。

 たしかに、「どうして解散するのか」と疑問を抱くのは当然です。解散を決めた安倍首相は「消費増税延期の是非を問う!」とか言ってますけれども、聞かなくても有権者は「増税は嫌です!」と言うに決まってるじゃないですか。

 年内解散の話が出はじめた10月末から11月前半は「消費増税延期か、予定通り実行か」という争点がありました。そのときまでは「なにがあっても増税するだろうな」みたいなムードが漂っていたと思うんですが、途中で延期の気配が高まると「増税延期なら解散しないんじゃないか」という見方も出てきた。なのに、解散っていう。

 これでは選挙前に争点へのハシゴがいくつも外されちゃっている気がして、「大義なき解散」だとか、内閣改造直後にでた不祥事(うちわを配って辞めちゃった大臣とか、支持者と演劇見に行って辞めちゃった大臣とか)の揉み消しのため選挙だ、と批判されても仕方なくないですか。で、そういう状況にあぐらを掻いて「大義なき解散だからダメだ」との批判に終始する野党もダメダメでしょう。エコノミストの片岡剛士もインタビューのなかでこう言っています。

「……争点や論点がないのではない。論点を作り出せていないだけなんです。それが日本の政治環境、経済政策環境の不毛なところだと私は思います」

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra