
公開初日に観にいく勢い! 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』公式HPより
2014年に観た映画……といっても性やエロにまつわるものですが(ピンク映画含む!)は、数は少ないながら満足度の高いものばかりでした。といっても、見逃した作品もたくさんあるので、年末年始はDVDで鑑賞できたらいいなぁ。『愛の渦』あたりは彼氏と一緒に観なおしたいですね。そのまま姫はじめに突入! という流れが理想です。
そして2015年にも楽しみな映画があります。タイトルは『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』ーーグレイの50の影、という意味です。世界中で大ヒットした3部作小説の映画化ということで、エロ系エンタメに詳しいmessy読者なら、ご存知の方も多いのでは? これ、SM小説なんですよ。でも純愛小説なんですよ。え、なんなの、その組み合わせ? と思われる方もいるでしょう。
これまで世界で最も読まれたSM小説といえば『O嬢の物語』だと思われますが、格調高い文芸作品で、10代で初めて読んだときはSMってぜんぜんわかんねー、と感じたものです。「すごい世界があるもんだ!」とは思いましたが、それは秘境モノのドキュメンタリー映像を観たときの感動と大差ありません。そこで描かれているSMは、非常に高尚な精神の遊びというか、貴族的な戯れというか、とにかくエクストリームすぎて田舎の高校生には早すぎるものでした。背伸びしすぎましたね。
その点、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』はとてもわかりやすいです。エンタメ度がものすごく高くて、3部作……しかもそれぞれ分厚い上下巻で計6冊なのですが、一気読みしました。ページをめくる手が止まらない! その読書欲を後押してくれているのが、〈純愛〉要素なんです。
王道であり、エロい
あか抜けない女子大生・アナスタシア(処女!)が、ハンサムな若き大富豪・クリスチャン・グレイと出会って、恋に落ち、官能の世界に目覚めていく……という、王道の少女漫画的ストーリー。このCEOが、も~う完ッ璧な男なんですよ! でも、世界最高峰のスペックの持ち主だからって、そういっているわけではありません。ひたむきにアナを想い、アナに尽くし、全力で愛情をぶつけてくるその情熱。混じりっけなしの純愛が、世界中の女性たちを夢中にし、「ハリー・ポッター」シリーズをしのぐ大ヒット小説となったのです。

そして映画化。まずはYouTubeで予告を観て!
中流家庭出身のダサい女子大生と、事情はあるにしろ家柄的にも申し分ないスーパー・イケメンの組み合わせ。身分違いなんて、なんのその。とにかく、彼女を手に入れるためなら何だってするグレイです。とにかく強引なんです。でも完璧な男だからその強引さも絵になるのです。キュンキュンするのです! ただ……お姫さまが王子さまによって幸せになるファンタジーを見たいのであれば、ディズニー・プリンセス系を観ればいいですよね(もっとも最近のお姫さまたちはまったく受け身ではないですし、王子さまの存在感も薄れていますが)。
オトナのファンタジーにはセックスは不可欠! それも特別に刺激的なヤツ!! ってことで「グレイの影」なわけですよ。この男には影が50もあるんですよ。それは複雑な生い立ちであり、性遍歴であり、そしてサディスティックな性嗜好です。偏りまくった性癖の持ち主で、自分でもみずからの欲望の飼いならし方はよく知っているはずでした。誰にでも受け入れられるものではないから、恋愛とは無縁に生きてきた。でも、世間でよくいわれているように、恋は意識してするものではなく堕ちるもの。あろうことか、SMどころかセックスの何たるかもしらない処女に恋をしてしまった……。
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