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「隣のエロいお姉さん」河合“オーロラ輝子”美智子に見る、真の“ナチュラルビューティー”

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『まごころの橋』日本コロムビア

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 先日、テレビでやっていたので、ご存じの方も多いと思いますが、前回、このコラムで取り上げさせていただいた峰子姐さんの、あの別荘が売りに出されているそうです。最後に確認した時は最低売値価格3000万円。が、相場より若干高めなため、買い手つかず。

 「もっと値段を下げますか?」と確認するテレビのスタッフに対し、「しない。だったら自分で残りのローンを払います」と、きっぱりおっしゃってました。売れなかったことに対する気持ちを聞こうとする無粋なスタッフに対し「何を言うの? 時間の無駄よ」みたいなことも。『芸能界いい人ブーム』が蔓延する中、胸のすく思いが。「あの人、潔くてかっこいいね」という言葉を耳にすることはよくありますが、実際は、返事の仕方や、表情の工夫などで潔く見える演出をしている人がほとんど。二重顎に見える下からのアングルにもこだわらず、カメラに向かって思いを吐き捨てるように答える姐さんのような人は、本当に最近では珍しいと思いました。顔のがっくり感も自然だったし。男に貢ぎ倒すだけじゃなく、カメラの前でも捨て身感たっぷり。だから、あの『吉原炎上』が生まれたのだと、改めて認識できた瞬間でした。

 自然風と自然。一時期“ナチュラルビューティー”という言葉が、赤い口紅をつけ、大口を開けて笑う今井美樹さんとともに流行りました。確かに、あれはビューティーかもしれませんが、皆様きっとご承知の通り、ナチュラルではなかった。それくらいカメラの前で自然な人を見ません。いません。本当の意味で捨て身にならないと、きっと無理。

 で、「ああ、この人、もしや捨て身かも?」と思えるのが、朝ドラ『ふたりっ子』(NHK)の中で、浪速の歌姫”オーロラ輝子”に扮し、おじいちゃん、おばあちゃんを朝っぱらから巻き込んで、大ブームを起こした河合美智子さん。あの通天閣風の頭の飾りは、ナチュラルからほど遠いけれど、演技はナチュラル。頭にあれをつけながら、ナチュラルって。隠れたすご技。大体、役とはいえ、あれを頭に乗せて真剣に歌うって。しかも、ちょっと上手い。ふっくらした唇に流し目の似合う奥二重。フェロモン美人顔なのに、飾り気も、飾る気もなし。「何かたまらんな~輝ちゃん」と思ってテレビを見ていたじいさんも、近づきやすかったことでしょう。

 あっ、そこのおじいさん(インターネットは見ないかもしれませんが、一応、呼びかけさせてください)、あなたはオーロラ輝子さんの裸を知っていますか? 見たいとは思いませんか? 夢の中へ、夢の中へ、行ってみたいと……。(報道が本当なら)裸の過激なシーンがあるという理由で角川三人娘の一人、渡辺典子さんが断ったと言われている映画『恋人たちの時刻』で見せたナチュラルなるヌード。言い換えれば、どこにでもいそうな裸。アンニュイなエロい顔に普通の裸。アンバランスに思えるのに、なぜか自然。巨乳でもなく、激細でもなく、足長でもなく、色白でもなく、普通に自然。一見、どこにでもいそうな女。何も磨かれてない、普通感。多分、「たかの友梨」にも、一度も行ったことのないような。でも、それが却っていやらしい。作ってない裸の雰囲気が、顔にも仕草にも出ていて、当時、男前すぎてちょっと現実感のない野村宏伸とのHシーンも、結構リアル。隣の大学生たちのHをのぞき見しているようで、妙にそそる。美智子は、表情なのか、無防備な裸が原因なのかわからないが、傍にいたらふとした瞬間に、あっという間に手を出されそうな、妙なエロさを持っている。唇か?

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阿久真子

脚本家。2013年「八月の青」で、SOD大賞脚本家賞受賞。他に「Black coffee」「よしもと商店街」など。好きな漢は土方歳三。休日の殆どを新撰組関連に費やしている。