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「胎内記憶はありまぁす!」派に感じる違和感…。全力でツッコみます。

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 知れば知るほど胎内記憶って一体何ぞや!? という気持ちがふくれあがるばかり。そんな折、胎内記憶ドキュメンタリー映画『かみさまとのやくそく』の上映会が行われるというではありませんか。これはもう、実際どのように子供たちが胎内記憶を語っているのか、見てみるしかないでしょう!

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 同映画は、幼児教室のような部屋から始まります。そこに集まっている子供たちに、胎内記憶を語ってもらうという展開のようです。指導者のような女性が、子供たちに問いかけます。

「おなかの中に入る前はどこにいたの?」
「どうして地球に生まれてきたの?」

 おいおいおいおい。思いっきり誘導尋問じゃん!!! 映画には、前出の池川医師をはじめ、カウンセラーや幼児教育研究者、大学教授などが出演されています。場所を変え、人を変え、これらの大人たちが寄ってたかって、微妙な表情を浮かべる子供に「どう? どう?」と、ひたすら回答をせまっているだけに見えるんだけどなあ。

 こんなふうに期待を込めて聞かれたら、サービス精神旺盛な子供なら「ちょっくら喜ばしたろか~」という心理になったりしないんでしょうか。胎児期のことを突然話しだすならまだ分かるけど、「お母さんのおなかの中にいたときどうだった?」と聞かれたら、キーワードから想像がパッと広がり、〈脳内マイ胎児ストーリー〉を語り出しそう。そういった子供の言葉は「想像力、表現の素晴らしさ」ですが、それ以上の意味はないように思えます。『胎内記憶』によると自発的に話した子供は、全調査の中で2%だそうです。

出てくる大人がどうにもヤバげ

 このドキュメンタリー映画の場合は撮影でカメラが入っているため、その状況に子供たちが緊張し、こういう形でしか語らせることができなかったのかもしれません。でも、映画内で紹介される〈お腹の中に入る前にいたところの絵〉が、雲の上だったり大仏的な神様が描いてあったり。これってそのまんまテレビや写真、絵本の影響じゃないの~!? 誰かツッコまないのか。外からの情報を自分の体験としてすり替えるのはよくある話だといいますが、それについては検証しないのでしょうか。

〈子供の前世がアウシュビッツの囚人だった〉と主張するお母さんも、子どもの発言をノートにびっしり記録していて、いろいろすごかったなあ(そもそも前世と胎内記憶は全くの別モノだと思うので、分けたほうがよいと思いますが)。逆子が治ったのを「説得したら聞いてくれた」としているのは、一種のコントロール欲求?

 池川医師たちは胎内記憶を科学的に証明するつもりはないそうで(そのわりには著書で疑似科学的な仮説を唱えまくりですが)、胎内記憶は「母子の絆を深め、幸せな子育てを応援するためのもの」としています。しかしこのドキュメンタリー映画を見ているかぎりは、誘導尋問対話で絆が深まるの? と、どうしても理解不能。

 鑑賞後の感想を強いていうならば、「癒され許され感謝したい! 魂磨きにがんばる大人たち」でしょうか。池川医師はジェムリンガマスターを名乗る「子宮委員長はる」さんとトークイベントを行っていたり、経皮毒に警鐘を鳴らす方でもあるので、そちらの〈自然でスピリチュアルで子宮ラブ〉な物件がお好きな方ならば、しっくりくるのかもしれません。

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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