当時すでに山前と彼女の母親は離婚しており、倉木の親権は母親にあった。そもそも山前は離婚前から家族と音信不通だったのだが、娘が売れっ子歌手になったことでおこぼれに預かろうとしたのか、彼女の幼少期のビデオを高額で売ろうとしていたとの話も。さらには、倉木の半生について綴った本まで出版し、娘と一文字違いの「倉本麻衣」というAV女優をデビューさせようとしたという暴君である。ちなみに倉木サイドは山前について一切語ることがなかった。彼女が“毒親”の存在で苦労したことは間違いないだろうが、その後もブレることなく活動しているようで何よりである。
また、彼女を語る上で外せないのは人気アニメ『名探偵コナン』だろう。というのも、彼女は同作のアニメ版や映画版のオープニングテーマやエンディングテーマを数多く歌っている。その数なんと18曲! 彼女のレコード会社が同作のスポンサーになっているという因果関係があり、彼女がレコード会社を移籍しない限りは倉木×コナンというタッグが継続していくのではないだろうか。
そんな倉木が2014年にデビュー15周年を迎え、12月に日本武道館でアニバーサリーライブを開催した。このライブは彼女にとって記念すべき300回目のライブでもあった。メディア露出が少ない一方で、定期的にライブツアーを実施しているのである。
さらに倉木は実はボランティア活動にも積極的。2011年の東日本大震災後にはサッカー日本代表が出場したチャリティーマッチで国歌を斉唱し、チャリティーソング「あなたがいるから」をリリース。被災地である宮城県で行われた植樹で自然の防潮堤を作るというプロジェクトにも参加した。発展途上国であるカンボジアの子供たちを訪問して音楽の授業を行ったこともあり、今年8月にはカンボジア訪問での経験を歌にした「STAND BY YOU」を発売している。
精力的な歌手活動をこなすがメディア露出は最小限、それでいてボランティア活動に意欲的な彼女。調べれば調べるほど、若くして悟りを開いているかのように無欲な印象が強まる。それもまた独自のイメージ戦略なのかもしれないが……。
(シュガー乙子)
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