松本氏の提唱する〈塩浴〉は、〈人は羊水※から生まれてくるので、塩が人体に最適〉〈環境と健康を守るため、シャンプー・石けん・洗剤の類とは縁を切るべき〉というのが基本的な信条のよう。その考えに基づき、次のような〈シャンプー・石けんを使うことによる健康被害〉が説かれています。※羊水には塩分が含まれるから。
・石けんの主原料は化学薬品だから、人体にも環境にも無益有害!
・石けん・シャンプーに含まれる脂肪酸が皮脂腺・毛穴をふさいで真皮の排泄機能を阻害する。すると老廃物と皮脂が出にくくなり、トラブルの原因となり皮膚が酸欠&壊死(えし)する。
・アトピーもがんも生活習慣病も、石けん・シャンプー洗いによる皮膚呼吸の阻害と皮脂の分泌不足。毛穴が詰まっているから口から取り込む食品添加物や有害重金属などの毒素を汗で排出できず、自律神経失調症になる。
・母親が農薬や添加物を無頓着に食べているとそれが胎児に凝縮。そのような〈爆薬〉が仕掛けてあったところに石けん・シャンプーを使うと、たまっている毒素が出されずにアトピーの原因となる。
酸化した皮脂や汚れを落としてから保湿することはスキンケアの基本ですが、著者は「石けん・シャンプーで垢を落としたら、皮膚が清潔で正常になると思い込んでいる人は医師にも多い」とバッサリ! うーん、私は塩会社の社長(著者)の知識より、医師免許を持つ方のご意見に耳を傾けたい。どうやら〈塩以外のスキンケアは敵!〉なようで、「医師と医学のいうスキンケアや清潔とは手術のための消毒、殺菌、無菌状態のこと」であり、生理的な面は無視している」とも語っています。
そして塩浴はスゴいヾ(*≧∀≦)ノ゙
ちなみに著者は、「はっかた~の塩!」のCMで有名な企業の二代目社長。企業のHPに掲載されている年表にも、同書の出版が記載されています。環境に配慮した自然塩の普及活動に力を注がれたようですが、トンデモ塩賛美もその一環のようです。でもその妄執っぷりを見ていると、塩デトックスした先から何か怪しいものが流れこんできそうで恐ろしや……。
石けんやシャンプーを必要以上に使いすぎれば、界面活性によって皮脂がとれすぎて乾燥するのは事実。しかし〈原料に含まれる油が皮膚呼吸を妨げる〉というお考えは、紀元前から続く石けんの歴史をまるっと無視……!? 一部、パーム油などに含まれるパルミチン酸などは皮脂腺の活動にとってあまりよくないと言われていますが、パーム油をたっぷり配合した石けんというのはまずないし、その他の脂肪酸が毛穴をふさぐとは聞いたことがありません。しかし同書では〈とにかく石けん・シャンプーを使わずに、体は塩のみで洗うのがよい!〉と主張。そして塩のみで全身を洗って一切の化粧品を使わないと、こんなすばらしいことが起こるそうです。
・皮膚が健康であれば心はうきうき。いじめ、暴力、無気力、自閉症、うつ病、不定愁訴、自律神経失調症などとは無縁で過ごせる。
・塩浴は自動的悪魔祓い、開運法!
・石けん・シャンプーの使用を辞めるとダウンした自律神経が回復して感染症に対する抗体・免疫力が備わり、慢性の万病も快方に向かう。霊障まで寄せ付けなくなる。
・塩欲で皮膚感覚が正常になると脳幹も鍛えられ、突然死を防ぐことができる。
・塩水で鼻を洗うと、匂いに敏感に。サリン毒ガス事件やガス漏れ事故などの被害を防ぐ意味でも役立つ。
・粗塩を入れた浴槽で水中出産すると痛みは軽く、会陰切開をせずにすみ、陣痛促進剤や点滴などの薬品も一切使わずにすむ(ついでに人工乳は人工愛・有償愛なので自閉症や心身症、いじめや暴力の原因となるそうです。それが塩欲で解決できるそうでーす)。