塩さえあれば、犯罪も病気も生霊も不運も親子関係もなにもかもが一挙解決、人類皆ハッピー★ この怒涛の塩万能説……わけがわからないよ。こんなオカルトレベルなお説を紹介していると、塩をまぶされたナメクジのようにしんなり気力が消えていきますが、そんな私も実は塩分不足なのでしょうか。
『塩浴革命』には、まだまだここでは書ききれないほどすごいお説がつまっているので、ディープな〈脅し系ナチュラル〉に触れたいかたは、ぜひご一読を。また、環境を守るために家庭で出る廃油(揚げ油など)は美味しく食べてしまいましょう! という健康にいいのか悪いのかよく分からない提案もされていますが、著者が70歳でお亡くなりになっている事実をふまえると、実践はしないほうがよいかもしれません。
塩は人にとってなくてはならないものですし、いくら自然素材で作られた石けんでも、カスが大量に出れば自然への影響もあるでしょう。しかし意味不明な脅しと自然回帰を説かれても、生返事の塩対応をせざるをえないよなあ。塩のすばらしさを説くだけで十分なのに、ここまで鼻息荒く〈石けん=諸悪の権化!〉とされてしまうと、著者の人生に石けんを憎むドラマが何かあったのか、そちらのほうに興味が沸いてきてしまいます。
数々の迷言には「お塩先生」を懐かしく思いださせるほっこり効果がほんのわずかありましたが、とりあえず妄執の詰まった入浴法は遠慮して、ノーマルな石けんの使用を続行予定です。そして本年も謎物件を楽しくウォッチングできるよう、健康に過ごしたい所存でございます。
参考文献:『塩浴革命 ver.5』(松本永光/三栄)
(謎物件ウォッチャー・山田ノジル)