「絶対に言えないヤラシイ話……、今夜だけ自分で発表します」
そんなぶっちゃけカミングアウトコンセプトを掲げて今年の4月から始まった『有田とヤラシイ人々』(TBS系)は、くりぃむしちゅーの有田哲平が珍しく単独でMCを務めるトークバラエティである。上田晋也もマツコもザキヤマも隣にいないたった一人のピン芸人状態で、毎週ヤラシイ話をぶっちゃける濃いめのゲストたちを上手にさばき、テンポよく番組進行している有田の姿は新鮮だ。
『しゃべくり007』(日本テレビ系)で見せる、やりたい放題のいたずらっ子キャラは一切封印し、きっちりMCをこなしている有田に、「なんだ、この人ちゃんとできるんだ」とプチ感心。さすがにMCがブレると番組が成り立たなくなるから、有田的しっかりモードを出しているのだろうか?
スタジオではお笑い芸人からタレントまで、ひな壇芸人かのごとく毎週10人近いゲストが二段の座席に鎮座し、「今まで言いたかったけど言えなかったヤラシイ話」を繰り広げる。それぞれのゲストからヤラシイ話が出ると、甲高くソフトにセクシーなアニメ声で「ヤラシイ!」とツッコミ音声が入り、どうヤラシイかの“ヤラシイポイント”テロップが出現、ヤラシイ場面をイメージイラストや写真をまじえてわかりやすく表現し、ツッコミどころを視覚化してくれるのである。テレビの前の視聴者に観やすくてヤサシイ~♪
一番ヤラシイ話をしたゲストは番組の最後に“THEヤラシイ”に選ばれ、副賞として「ヤラ新札」と名付けられた1万円が贈呈される。今どき芸能人に1万円の賞金って!? この絶妙なチープさが、この番組の持ち味なんだろうか?
しかも、その1万円は「ヤラシイ使い道」をその場で報告しないと受け取ることができないらしい。なんだろう、このわざわざ&めんどくさい感。タダでは渡さないぞ、最後までキッチリ仕事をしないとご褒美はやらないんだぞ、みたいなもったいぶりプレイか。
6月25日の放送では、いつもの30分番組から拡大の1時間スペシャルで、ゲスト陣がヤラシイ話を連発していた。そんな中、意外な一面を存分に見せまくってくれたゲストが。情報番組『スッキリ!!』(日本テレビ系)で異彩を放つイケメンリポーター、「加藤さん、事件です!」でお馴染みの阿部祐二が、リポーターの時とはまた違った方向からフルスイングをかましてくれたのだ。
番組中盤までおとなしかった阿部さんは急に「(自分の)時給が低いんですよ!」とぼやき出した。なんでも、阿部さんは若かりし頃の25年前に家庭教師派遣会社を立ち上げて、当時年収1,000万円を稼いでいたとカミングアウト。その頃の時給は15,000円だったそうだ。
ところが、365日24時間働いている現在の年収を時給に換算して当時と比較してみると、「なんだ今の時給は!」とあまりの落差に怒りが込み上げてきたという。高収入の仕事を辞めてまでも「やりがいが欲しい!」と自らの熱い意志で憧れのリポーターになったはずなのに、今更になって薄給にキレている阿部さんはなんだか滑稽でチャーミングである。
そして、同じくゲストのはるな愛に「最近(レギュラー出演している)『スッキリ!!』以外の他局の番組で(阿部さんに)めちゃめちゃ会うんです」と暴露されると、すかさず「『スッキリ!!』よりも他の番組の方が全然(ギャラ)が高いんだ!」「比べものにならない!」と興奮して断言。そこまで雄叫びを上げるほど『スッキリ!!』の出演料は安いのか? 番組MCの加藤浩次は、高級住宅街に7LDKというものすごい豪邸建てたのにな~。まぁ、加藤さんは他にもレギュラー持ってるけど。
やや呆れ気味で「リポーター以外(の仕事)でもいいんですか?」という有田の問いに対し、「いいです!」と即答。しまいには「(テレビの仕事は)なんでもいいよ!」と言い放っていた。もうポリシーまったくないじゃ~ん!
その後、他のゲストの自慢話に対抗して自分はユニクロのジーンズが似合うと主張し出した阿部さん。薄給ゆえ、プチプラの大王道・ユニクロ製品を愛用しているわけか。今回スタジオで履いているのも3,990円のユニクロのジーンズであることを説明し、かつてオシャレ男性誌『POPEYE』(マガジンハウス)でメンズモデルをしていた頃を彷彿させるモデルウォークをキメて、「ユニクロのジーンズを俺ほどかっこよく着こなすヤツいないんじゃないかな~」とドヤ顔。
実際、長い脚で安いジーンズをキレイに履きこなしているのはさすが元モデル。54歳・阿部祐二、あなどれない。
「ヴィンテージの20万とか30万するジーンズもあるけど、俺は3,990円(のユニクロ)で負けない!」
「ユニクロ最高!!」
と叫んでフィニッシュ。え、YAZAWA? っていうかここまでユニクロを推すのはCM狙い? や、ヤラシイ~! ブラック企業疑惑があるユニクロだけど、CMだけはオシャンティだから起用されるか微妙かな~。
ギャラの愚痴から始まって、「ユニクロジーンズが激烈似合うオレ」へと展開し、ナルシストの扉を全開に開いてしまった阿部さんは、最終的に「(自分は)リポーターとしては別格だと思うんですよ!」とまで語り始めた。自我自讃。
取材に行くと、他にも何人かのリポーターがいる中で、取材対象者が自分にだけ話をしてくれるということがよくあるそうだ。うーん、確かに、阿部さんはキャラが立ってるし、『スッキリ!!』レギュラーの有名ダンディリポーターだし、ミーハー心から気を許してしまうこともあるかもしれない。ちなみに阿部さんは、「加藤さん、事件です!」という決め台詞も、カメラの向こうで側で自分を見たいと求めている人がいるんだと感じながら発信していると言っていた。
リポーターは脇役じゃない。スターなんだ。……阿部さんは、そう思ってるらしい。
番組最後に選ばれた“THEヤラシイ”は、もちろん、ヤラシイポテンシャルを最大限見せつけてくれたナルシスト阿部さんだった。ぶっちぎりだったよね。副賞1万円のヤラシイ使い道を有田に聞かれると、阿部さんはなんとも嬉しそうに「ユニクロのジーンズを買おう!」とオチを決めた。
阿部さんは前から只者ではないと思っていたけれど、まさか、ここまでぶっとんでいるとは……。今後ますます『スッキリ!!』以外の番組でお目にかかる機会が増えるのは間違いない、と期待を込めて思う。いつか阿部さんがユニクロジーンズのCMに出る日が来るのも、楽しみに待ちたい。
(驚き視聴・文=テレ川ビノ子)