昨年の10月クールに放送され話題を集めた、竹野内豊主演のコメディードラマ『素敵な選TAXI』(フジテレビ系)。売れっ子お笑い芸人であるバカリズムが連続ドラマの脚本に初挑戦したということで、毎週新作コントを見ているかのような小ネタが随所に散りばめられている楽しい作品であった。
ただ笑いに走るだけではなく、登場人物の心情もきちんと描かれていたので、「人生の選択に失敗した時は、“選TAXI(せんタクシー)”に乗れば、お手軽に何度も過去にタイムスリップしてやり直しができちゃう」という非現実的な設定でありながら、すんなりストーリーに惹き込まれてしまった。
そんな面白い連ドラの脚本も手掛けるなどと多才なバカリズムが、昨年末の12月28日に放送された『おしゃれイズム』(日本テレビ系)にゲスト出演していた。
冒頭からドラマ脚本についての話題に触れていたのだが、本業である芸人活動と並行して脚本制作作業がプラスされたので、それはもう大忙しの一年だったようだ。一話分の脚本を4、5日かけて作り上げていたそうで、休日はもちろんのこと「プライベートな時間が今年はほとんどなかった」とのこと。
連ドラの脚本を手がけるなんて、大変な作業になることは容易に予測できただろうに、なぜバカリズムはこの仕事を引き受けたのだろうか?
きっかけは、『世にも奇妙な物語2012年 秋の特別編』(フジテレビ系)で短編の脚本「来世不動産」を書いた時に評判が良かったため、今回の連ドラ脚本のオファーに繋がったそうだ。しかし、売れっ子芸人だけにスケジュール的に難しいということで、マネージャーさんは断ろうとしていたらしい。ところが、バカリズムは違った。相当厳しいことになるかもしれないけれど、
「もし成功したら、これは相当“多才感”が出る!」
と睨んで、お引き受けしたそうだ。映画監督をやっている芸人はすでに大勢いる。それはそれで凄いし評価されることもあるだろうが、「今このタイミングで自分がそこに入ってもそんなに目立つことはない」と、バカリズムは冷静に分析していたらしい。連ドラ脚本に関してはまだ誰も手掛けている芸人がいないということで「賭けだけど、やれるんだったらやったほうがいい!」と自分にGOサインを出したそうだ。
バカリズムのちょっとした嫌らしさも垣間見える選択理由にMCの上田晋也(くりぃむしちゅー)は大爆笑していた。制作中はやはり大変だったかもしれないが、同ドラマは好評を得てバカリズムの読み通り彼の“多才感”が溢れまくるという結果となったのである。大・成・功~!