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西島秀俊も虜に? 艶女・喜多嶋舞に学ぶ“ザ・女”な表情と仕草

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 しかし脱いでも脱がなくても、いつもどこか色気を漂わせながら演じていた舞嬢。特に、おでこ美人だからか、ぽってりとした唇に何かそそらせるものがあるのか、アップの画が色気たっぷり。出てきただけで、ザ・華女。そういえばちょっと昔に“艶女(アデ-ジョ)”という言葉が流行ったが、あの雑誌、舞嬢がずっと表紙じゃいけなかったのだろうか? と考えさせられるくらいとにかく色艶たっぷり。色艶に演技の巧さというか、その役へのなりきりが加わって、締切まで時間に余裕がない中、ついつい見入ってしまいました。仕草や表情が、見事に“ザ・女”で飽きなかった。今までルックスの良さに惑わされて演技をあまり観てなかったかもしれないけど、この人、もしかして巧い人だったの?

 魔性の女と呼ばれる女優は、皆、演技が達者なのかもしれません。その役になりきることも演技のひとつと考えると尚更に。隠れ演技巧者であった舞嬢は、豊川悦司が金田一に扮した回の『八つ墓村』に不思議な少女の役で出ていたのですが、これだけはノー艶。ノー華。が、この『八つ墓村』、技巧派代表なのに魔性とは言われない故・岸田今日子さんが老婆の双子を演じていたり、これまた怪優の岸部一徳さんが一人三役していたり、高橋和也(旧:一也)、浅野ゆう子、萬田久子、宅麻伸、吉田日出子、加藤武、白石加代子、他にも挙げればきりがないほど豪華な面々で、なかなかの見応でした。観てない人は、お薦めです。

 とにかく今回の喜多嶋舞嬢に関しては、このフェロモンたっぷりの美しさにひれ伏さない男の方が少ないだろうという結論。噂の範疇ではありますが、共演した西島秀俊をもかつて夢中にさせたらしい舞嬢。いろいろなことが話題になった時に、真偽はどうであれ、たくさんの男の噂が出てきても、不思議でもなんでもないほど魅力的なルックスでした。特に若い頃の華やかさには、ちょっと中毒になったかも。新作が出たら、忙しくても観るかもしれません。

 あ、最後になりましたが『GONIN2』も、ものすごく豪華な顔ぶれで、元祖魔性の女・大竹しのぶ氏が中年女なのにセーラー服姿の売春婦を演じています。見た瞬間に、思わず噴いてしまいました。何かを飲んでいる時じゃなくてよかった。噴いたのも演技の巧さゆえ。ちっとも寒さを感じさせないどころか、さらに笑いを取る演技にプロのド根性を感じました。

 話がややずれた気もしますが、今回のコラムを書くにあたって、もっとも楽しみにしていた作品を締切までに入手できず、見ることができなかったのは少し心残りです。『人が人を愛することのどうしようもなさ』、機会があれば是非拝見したい。何だか最後まで宣伝みたいになっちゃったけど。美人は得ね。

■阿久真子/脚本家。2013年「八月の青」で、SOD大賞脚本家賞受賞。他に「Black coffee」「よしもと商店街」など。好きな漢は土方歳三。休日の殆どを新撰組関連に費やしている。

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阿久真子

脚本家。2013年「八月の青」で、SOD大賞脚本家賞受賞。他に「Black coffee」「よしもと商店街」など。好きな漢は土方歳三。休日の殆どを新撰組関連に費やしている。