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一人歩きする“毒親”が不安を煽る? 「イライラするな」ってムリでは…

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それって毒親なの? 一人歩きする流行りのワード

 「毒親」という言葉が広まって良かったことといえば、こうした家庭環境に育った人たちの間に「あ、わたしって『毒親育ち』だったんだ!」という共通認識が生まれたことでしょう。「ずっとしんどい思いをしていたけれど、それはわたしが悪かったわけじゃなく、親が変だったんだ」とか「わたし以外にも同じ思いの人がいたんだ!」と気付きを得ることで、少し楽になった人は多いはずです。

 とはいえ、言葉が広まることで「これって誤運用じゃないの?」と首をかしげたくなるケースも見られます。たとえば先日、東洋経済オンラインに掲載された「危険!『毒親予備軍』に見られる2つの兆候」という記事。主に、子供が2~3歳の頃に親が陥りがちな状況を分析し、「毒親にならないように」と改善を促す内容です。

・子供の悪いところばかりに目がいって、イライラしたり厳しく叱りつけたりしてしまう
・自分の子供よりもデキる子を探して「なんでウチの子はデキないんだろう?」と比較ばかりしてしまう

 幼児教育研究家の平川裕貴氏いわく、上記の傾向がある親は「毒親」になる可能性が高いそうです。え? これを『毒親予備軍』だとしたら、大部分の親御さんが予備軍入りしちゃうんじゃないの? 「毒親」ってそんなに、誰もが簡単に成り得るモノと考えていいのでしょうか。

 確かに、期待通りに物事をこなせない子供に対してイライラするのは「大人の価値観の押し付け」と言えるかもしれない。でも、子供にイライラするのは、当たり前じゃないですか。確かにそのイライラを子供にぶつけてしまうとしたら「大人らしからぬ態度」ですが、それを「あなたも毒親かもしれません!」と言うのは、単に不安を煽るだけのような気がします。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra