後日。
あれからトリュフをどうしたのか聞いてみると、
「ああ、家族みんなで食べたよ」
か……ぞ……く……で?
あのださい特製バレンタインBOXを?
(波濤)(波濤)(波濤)(波濤)ザッパ〜ン(波濤)(波濤)(波濤)(波濤)
恥ずかしかったです。
内緒にして欲しかったですが、秘めるには多すぎるトリュフなのでした。
私がもらったとしても困るわい……。
当時は今ほど包装や箱の種類はなかったかもしれないけど、辞書サイズの箱に無理矢理入れることもなかろうに。
よく探せばもうちょっとましな方法が見つけられただろうに。
労力の割にはお洒落でもないという。
何故あんな風にしようと思ったのか謎です。
さて。
そういうわけで今回はトリュフなのですが。
久しぶりに作ってみたら、なんと最初、失敗しました。
味は良いのですが、なんとなく表面にツヤがありません。粉っぽいというか。シラケているというか。
何故だ……?
高校の時は、あっさり作れました。
しかし当時は、表面にココアをまぶしたり、網の上で転がしてトゲトゲをつけてみたりしたので、チョコレートのツヤなど気にせずに済んだのでした。
しかし滑らかなトリュフも作ってみたい……。
主に使う材料は「クーベルチュールチョコレート」です。
20年くらい前から「クーベルチュールチョコレート万歳!」という空気があり(少なくとも私の周りでは)、やや高くてもバレンタインには奮発していたわけです。
クーベルチュールチョコレートは製菓用に作られた、カカオ含有率が高いチョコレートです。
「総カカオ固形分35%以上、カカオバター31%以上、無脂カカオ固形分2.5%以上、カカオバター以外の代用油脂は使用不可」という国際規格があります。(日本ではこの規定はありません)(参照:クーベルチュールとは?)
そんなチョコレートを高校時代の私は能天気に使っていたのですね。
贅沢な。
ネットで調べてみると、「テンパリング」の重要性が書かれていました。
「テンパリング」……それはチョコレートの温度調整。
これをしないとツヤがなくなったり、口当たりがやや悪くなったりするそうです。
一度湯煎で溶かして温度を上げて、次に水につけて冷まし、今度はぬるめの湯煎で温度を少し上げてキープ。
キープできず温まり過ぎたらやり直しだそうな。
ネットには下記のように温度の目安がいくつか表示されていましたが、「チョコレートの種類によって融点が違うので、それぞれのチョコレートのラベルの指示に従うように」と書かれてありました。
スイートチョコレート 溶解温度:50~55℃ 下降温度:27~29℃ 調整温度:31~32℃
ミルクチョコレート 溶解温度:45~50℃ 下降温度:26~28℃ 調整温度:29~30℃
ホワイトチョコレート 溶解温度:40~45℃ 下降温度:26~27℃ 調整温度:29℃
(チョコレートのテンパリング(調温-ZAQより抜粋)
デパートへ行き、他メーカーのチョコレートのラベルを見てみました。
なんと、同じビターチョコレートでも、カカオの含有量によってキープする温度が違うようなのです。
探した中で一番カカオ含有率の高いビターチョコ(73%):33℃
同じメーカーのビターチョコ(65%):30℃
ネットには「ビターは31℃くらいを目安にしてみて下さい」と……。
要するに「何℃以上になったらテンパリングやり直し」の基準が違うのです。
しかし、実際には細かい温度調節は難しい〜!!
「あっ、今 何℃になった!」と思っても温度変化は急には止まりませんし、温度計を使用しても結局は勘も必要だったのでした。
また、テンパリングをするときは、チョコレートが「少なくとも300g必要」だとネットに書いてありました。
「きっちり使い切りたい」「余らせるなんて勿体ない!」と思い、コーティンングチョコとして最初は150gで作ってみました。
150gでもまあまあできるじゃん!と思いましたが、ベストなツルツルトリュフができたのはやはり300g使用時でした。
しかし、300g使っても出来上がってみたら、150g使用時とそんなに変わらない出来(ベストではない・まあまあ)だったこともありました。
300g用意しても別の原因で失敗する可能性はありますが、失敗する不安材料をより少なくしておく、という意味では300gある方がいいみたいです。
ちなみにパティシエは大理石を使ってテンパリングするそうな。
大理石とヘラを使って「カシーッ、カシーッ」と作業するショコラティエの映像を思い出しました。
あれはテンパリングだったんですね。
45℃の状態はこう、27℃の状態はこう、など、温度計なしでも作業するタイミングを逃さないんだろうな。
職人技……
それにしても。
「こまごまと調べたところで出来ることと出来ないことがあるんだよ!」と一覧表に言われた気がしました。
半ば諦めの気持ちを持ちつつ、でも丁寧に作ります……。
では参りましょう。「トリュフ」。