先週はバレンタインデーをエロティックに盛り上げるグッズを紹介しましたが、この時期は愛とか恋とか好きとか告白とか、そんなことばがたくさん巷に踊り、見聞きする機会も多いシーズンであります。〈エロス〉もその仲間に入れてくださいよ~と思って拙文をしたためたわけですが、そんな折、〈好き〉と〈セクシャリティ〉と〈ほんのりエロス〉がすてきに一体となった催しを知りました。「“好き”に変はない展」--日本セクシャルマイノリティ協会と写真家・青山裕企氏による写真展です。
私は青山裕企さんの『スクールガール・コンプレックス』をはじめとする、フェティッシュでありながらイノセントな世界観がとても好きです。そんな青山さんが今回写しとったのは、〈いろんな形の好き〉でした。
ギャラリーでの展示は2月15日で終了しましたが、いまは公式ウェブサイトで全作品が公開されています。これ、ほんとにありがたいですね。展示されている空間ごと作品を楽しめるギャラリーに行けるに越したことはないのですが、会期はかぎられています。私もこの催しは知ったのが遅く、足を運ぶことができませんでした。なおかつ、開催地が遠方だとそもそも行けない人も多いです。一方でウェブ上での展示は、好きな時間、場所で鑑賞でき、しかも遠く離れた人たちと共有もできます。
当たり前とは思われない恋
好きに変はないーー当たり前じゃん、と思うでしょうか? 私も最初はそう感じました。私が誰かを好きになったとして、それは他人からとやかくいわれるものではありません。でもそれは、私がヘテロセクシャルで、いま現在も独身女性として独身男性を好きで、おつき合いをしているからです。マジョリティのど真ん中をいく恋愛スタイル。一方で、そこに属さない人たちの恋愛はときに〈変〉とみなされます。
作品は、青山氏の写真+キャッチコピーで展開されます。今回トップページで掲載した、制服姿の女の子ふたりが手を固くにぎり、見つめ合い、数秒後にはキスしそうなほど親密感あふれながらも、凛とした覚悟が漏れでている写真には、次のようなことばがありました。
“遠距離に負けないカップルが純愛なら、差別に負けないカップルも純愛だと思う”
マジョリティではない恋愛、人から「変」といわれてしまう恋愛、偏見によって傷つけられ、社会が変わらないかぎり法的には認められず、そうではなくてあなたたちが変わりなさいとばかりに、ときに別離を強いられることもある恋愛が、作品世界に昇華されています。
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