法的云々に関しては、先日、渋谷区で国内初の動きがあり、やっと変化の萌芽が見られるようになった段階です。大きな話題となりましたが、次のキャッチコピーを見るとハッとさせられます。
“同棲結婚式がニュースになるのはうれしい。でも、いつまでもニュースになるのは悲しい”
そして、
“「家族以外面会謝絶」18年間も連れ添ったのに、病室に入れてもらえなかったカップルがいる”
というキャッチコピーも。それぞれの写真は、ぜひホームページを見てください。日常の何気ない1コマを切り取っているだけに、余計に胸が締めつけられます。
この展示についてもっと詳しく知りたいという気持ちが止められなくなったところ、幸いなことに共同プロジェクトとして本展示会に携わった電通コピーライター、銭谷侑さんにお話をうかがうことができました。
--バレンタインシーズンに、誰のなかにもある〈好き〉に光を当てたイベント、すてきですね。
銭谷侑さん(以下、銭谷):〈バレンタインを好きについて考える日にするプロジェクト〉を日本セクシャルマイノリティ協会さんと共同で起ちあげたのですが、この時期を選んだのは、〈好き〉について人々の意識が高くなるシーズンだと考えていたからです。今回の展覧会は、あくまでスタート。来年以降のバレンタインも、プロジェクトを継続させていく予定です。
LGBTのスクールデイズ
--そのプロジェクトを体現する媒体として、写真を選ばれたのはどうしてですか? 私、青山さんの写真が好きなのでとてもうれしかったです!
銭谷:ネットでコンテンツを拡散させることで、より多くの人に好きについて考えてもらいたいという意図があったんです。それにはどのコンテンツがふさわしいのかいろいろと模索しましたが、写真とコピーの組み合わせがもっとも拡散されやすいと判断しました。青山裕企さんにお願いしたのは、彼の写真がもともとLGBTからの人気が高かったから。青山さんしかいないと思いオファーしたところ、快諾していただきました。
--学校を舞台とし、制服姿の少年少女が被写体となっている作品が多いですね。スクールデイズのなかのLGBTという印象でした。
銭谷:そうでない作品もありますが、たしかにティーンが主人公となった作品が中心となっています。それには理由があるんですよ。LGBTの小中高学生は、社会人や大学生とくらべて自分以外のLGBTの学生と出会う機会が少なく、ひとりで悩んでいることが多いといわれています。LGBTの学生の自殺者は、異性愛者の子どもの約5倍です。そんな子たちに、ひとりじゃないということを伝えたいという想いで、ティーンの写真を多めにしました。
--先日、学校で養護教諭をしている人から聞いたのですが、教員向けにLGBTについての基本的なことを知ってもらう出張講座をしているNPO団体もあるとか。でもこれも、まだまだはじまったばかりですね。
銭谷:はい。実際はおとなにくらべて、小中高生のほうがLGBTに対して許容度が高いということがわかっています。だからこそ、中高生をメインターゲットにすることで、twitterなどSNSで拡散してほしいという願いもありました。ありがたいことに、実際まずは10代20代の人から拡散し、いまはおとなたちにも広がっています。
最後に、もうひとつキャッチコピーを紹介します。
“同性婚を認めている国は、幸福度が高いというデータがあるんだって”
私もそんな国に住みたいです。
■桃子/オトナのオモチャ約150種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。ブログ、twitter
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