
Photo by Richard Leeming from Flickr
お腹の赤ちゃんが逆子のおかあさんに対し、〈説得して正しい位置に戻ってもらって〉と指導する産婦人科医ーー胎内記憶ドキュメンタリー映画『かみさまとのやくそく』に登場したワンシーンです。
映画のメインテーマは〈胎内記憶〉だったのですが、〈胎児に説得する〉という会話に強烈なインパクトを受け、しばらく頭にこびりつき離れませんでした。ところが〈胎教〉の世界では、どうやらさほどめずらしくないお話のようです。もしそれが可能なら、私は「出すとき大変そうだから標準値圏内かつ、ほんのちょっとだけ軽めの体重で出てきていただけませんでしょうか!」とお願いしたいところですが。
〈胎教協会〉のHPによると〈おなかの赤ちゃんによいことが胎教です〉とのことで、巷では〈胎児にモーツアルトを聞かせると知能が高くなる〉などが有名です。さらに同HPを読み進めると、〈胎教アドバイザー〉なるリンク先にはこんな説明がありました。
“知るか、知らないかで、人生が180度変わる「胎教」。よい胎教で育てた赤ちゃんの特徴は、・穏やかでよく笑う・学習の能力が高い・社会性が高い・情緒が安定している”
だそうです。何というか、半分くらいは遺伝が関係していそうな……? でも、これが実現できれば、そりゃ親としては嬉しいですよね。
さらに同HPには動画が埋め込まれていて、〈胎教の効果 生後3カ月の赤ちゃん大笑い〉とあります。動画では、音の出るオモチャであやされている赤ちゃんが、楽しそうにキャッキャと笑っています。はて、これが胎教効果? ごく普通の反応に思えるのですが、プロの目から見ると違うのでしょうか。
赤ちゃんに伝える方法とは?
果たして〈よい胎教〉とは一体何? 前出の〈胎児を説得するコツ〉なんてあるの? そんな疑問を、某産婦人科で行われているマタニティ講座で尋ねてみました。すると胎教の研究に携わっていたという女性講師はこうご回答。
「お腹の赤ちゃんに気持ちを伝えるコツは、必ず伝わる! と信じることです」
せ、精神論!? 講師の語り口はともすれば聞き取りにくいほどのウイスパーボイスで、いわゆる〈癒し系〉な雰囲気ですが、言ってることは「やればできる!」の修造系。講師はさらにこう続けます。
「おかあさんの気持ちが赤ちゃんにそっくりそのまま影響するのはもう科学的に判明していて、おかあさんが穏やかで優しい気持ちでいるときは赤ちゃんも穏やかで優しい気持ちを感じているし、おかあさんが悲しい気持ちのときは赤ちゃんも一緒に悲しいねって思ってくれてるし、お腹の中から豊かな感情を体験しているんです」