ZARAやH&Mといった低価格のファストファッションもたまにコーデに取り入れるものの、細身・長身・小顔の三拍子そろった彼女でなければカッコよく着こなせないようなモード系のファッションが多い。アレキサンダーワンやメゾンマルタンマルジェラのワンピースに、サンローランのライダースジャケット(しかもメンズ)、グッチのプリーツブラウスや蛍光色カーディガンなどは、他のタレントが着てもそうサマになるものではなさそうだ。値段にかかわらずここまで数多くの冒険的とも言えるアイテムを揃えていれば、そりゃあ「スタイルブックを出しましょう」という話になって当然である。ちなみに通っているネイル・エクステサロンがスザンヌのいきつけと同じだったことは意外だった。
著書の中で山田は、出産はおろか結婚前からかなりの額をファッションに費やしてきたことを自他共に認めている。本のリリースにあたって業界内の友人たちが祝福メッセージを寄せたページがあるのだが、「今までに家一軒買える以上に、ファッションにお金つぎ込んでますこの人(笑)」とのコメントがある。なによりこの本のタイトルが「FASHION ADDICT」なのだから、そこを「浪費」と否定されては、山田優の人生そのものが否定されるようなものだろう。同時に、あらかじめ持っていた価値観や、20数年にわたって育ててきた個性、築き上げたこだわりもすべて捨てて、「良い奥さん・良いお母さん」にならなければ高評価を与えられない社会というのもおかしい。
小栗が「嫁が散財しすぎで……」と嘆息していたことが事実なのだとすれば、さすがに山田も黙ってはいないだろう。ともすれば離婚待ったなしとなるかもしれない。浮気は黙認できてもここだけは譲れないという境界線が、彼女の場合は「ファッションに口出しされること」ではないだろうか。
(犬咲マコト)
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