あまり太いとか短いとか外野がうるさく注文をつけると、本人も気に病んで無理なダイエットに走ってしまうかもしれない。そんな事態を招くのは誰にとっても本意ではないだろう。人前に出て容姿を品評される機会の多い職業だけに、「少しでも綺麗に見られたい」という気持ちは当然一般人よりも強い。ましてごくごく普通の男女でもSNSに投稿する写真はアプリによる修正済のものであることが一般的になっている昨今、芸能人であるにもかかわらず「補整・加工ナシのナマ写真」をUPする理由はどこにもないだろう。
また、剛力は162cm、ダレノガレは164cmで、モデルとしては身長が低い方だ。だが高所得者層向けの高価なコレクションラインでなく、庶民向けのリアルクローズをステージ上でお披露目して一般女性たちの購買意欲を煽ることが「TGC」のようなイベントの主旨である以上、170~180cmの高身長に薄い胸板、シャープな肩、長すぎる脚、といった“理想的”なモデル体型に当てはまらない女性たちがモデルとして服を着用し登場することは理にかなっている。安価な既製服が普及してだいぶたつが、こうしたイベントの開催自体、誰でも好きなファッションを楽しめる自由な裾野が広がったことを意味してもいる。「こんな女がモデルなんて……」と、どこからなのかわからない目線で批評するよりも、百花繚乱のアパレルメーカーが提案するファッションや、タレントそのものの魅力を味わう方が精神衛生上も良いのではないだろうか。ちなみにTGCはもはや若い女性観客に向けたファッション紹介にとどまらず、アパレル以外の分野の企業も新商品発表の場として活用しており、28日は新作映画PRステージも相次いだ。
誰々の方が細い、痩せている――とモデル同士を見比べて、ネット上で議論していても面白いことはない。冒頭の剛力彩芽にしろ、標準体型よりはずっと細くて華奢で、タレント然としたつくりであることに変わりないからだ。
(新田織江)
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