
『mamazanne ママザンヌ』宝島社
2011年12月1日に結婚したスザンヌ(28)と野球解説者・斉藤和巳(37)夫妻が、2015年3月17日、離婚を発表した。交際開始からおよそ5年での破局となる。14年1月に生まれた2人の息子は、まだ一歳の誕生日を迎えたばかり。だがその記念すべき一歳を祝うパーティーにも、父親である斉藤の姿はなく、年末年始休暇も彼らは一緒に過ごしていなかった。離婚に向けた協議は、すでに昨年後半から始まっていたようである。
離婚事由について、スザンヌは「すれ違い」と説明している。斉藤の仕事が福岡県中心に行われるため、結婚を機に夫妻は福岡に新居を構えた。だが、スザンヌは東京に出張して仕事をする機会が多く、いったん上京すれば数日間は都内に滞在して数本の仕事をこなす。毎日、同じ家に帰って顔を合わす家族ではなくなってしまったことから、お互いの気持ちがすれ違ってしまったということだ。
スザンヌは同時に、「私が出産、育児にいっぱいいっぱいになってしまい、彼に対して思いやりを持つことができなかったのかもしれません」「今でも彼を尊敬する気持ちは変わりません」と謙虚なコメントを出している。
昨年秋頃から、離婚の兆候は囁かれていた。スザンヌのブログに「カレ」の姿が一切出てこなくなったうえ、斉藤がプロゴルファーの上田桃子と不倫しているとの噂が駆け巡っていた。離婚の決定打はこの不倫にあると見られている。
スザンヌが昨年8月にリリースしたフォトブック『mamazanneママザンヌ』(宝島社)では、斉藤はスザンヌへ「女性としての強さや、母としての強さを身近で感じてるよ。少し頑張り過ぎるところがあるから、たまにはゆっくりして」とメッセージを送り、スザンヌは斉藤へ「息子が産まれて、二人の時みたいにはお料理もお掃除もちゃんとできなくてごめんね」と伝えている。初めての出産と育児で「いっぱいいっぱい」になってしまっている時期に、夫が他の女性と浮気していたと知ったスザンヌの失望は相当なものだっただろう。
今回の件だけでなく、離婚トピックには「小さな子供がいるのに離婚するなんてありえない!」という批判コメントが並ぶのが定番だが、実は厚生労働省の母子世帯等調査によると、子供が0~2歳の時の離婚率は高い。妻としては「私がこんなに頑張っているのにまさか! なんで?」と思うかもしれないが、妻が育児や仕事を頑張っていればいるほど、夫は「彼女は強いな。俺は必要ないのかな」と居場所のなさを感じてしまうという。そして子供が小さく手がかかるからこそ、些細な夫婦のすれ違いを修復する余裕が持てず、溝が深まってしまう--。家庭内で保育する以上はすべての時間を赤ちゃんに合わせて生活することになるため、養育者は時間的にも体力的にも余裕を失う。夫と妻がしっかりお互いのことを話し合えなくなり、関係が修復不可能なほど悪化、そのまま離婚に至ってしまう。産後の急速な愛情の冷え込み、つまり「産後クライシス」がスザンヌ元夫妻にも起こっていたのだろう。
斉藤にとっては2度目の離婚となるが、初婚の妻との別れに際しては、斉藤の浮気・妊娠中の妻への暴力と中絶強要・離婚後の養育費支払い渋りなどが取り沙汰された。そんな過去があるゆえ、スザンヌとの再婚時にも「どうせすぐに浮気で別れる」「スザンヌDV被害に遭うんじゃないか」と懸念コメントがあふれたが、当時のスザンヌにとっては斉藤が「この世でもっとも愛し合える唯一のパートナー」に見えていたのだろうから仕方がない。恋は盲目とはよく言ったものだ。
今となっては何もかも後の祭りだが、スザンヌが「育児でいっぱいいっぱい」になり、料理の品数が減ったり部屋が散らかったり洗濯物が溜まったり夜の営みを拒んだりしていたとして、そのことに斉藤が不満を持ったのなら、他の女性に安らぎを求めて逃げ出すのではなく、スザンヌをフォローして「いっぱいいっぱいな状態」を解消すれば良かったのではないか。子供が生まれて3人家族になった。もう夫婦2人きりの時のように、気ままな生活には戻れない。それを受け止めて、よりよい家庭を作るために夫婦双方が歩み寄らなければ、婚姻関係は保てないだろう。結婚はただの同居生活ではなく、将来を見据えた長期的な人生計画を共有することなのだから。
(清水美早紀)