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ルッキズム反対! 愛があっても美醜のコンプレックスをからかうのはNOです。

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太っていてもセクシーな人はセクシーだし。 Photo by Charles Haynes from Flickr

太っていてもセクシーな人はセクシーだし。

Photo by Charles Haynes from Flickr

 『人は見た目が9割という』本があったり(すみません、未読なのですが)、ここmessyでも週に何度も〈劣化〉〈整形〉という単語が踊る記事が掲載されたり、ルックスというのがこの社会を生きていくうえでいかに重要かということが伝わってきます。生きにくいですよね~。ルッキズムなんてくそくらえ! と思いますが、世の中そんなものというあきらめもあります。

 それがセックスとなると、隠しようもごまかしようもない場面がほとんどなので、コンプレックスがさらに増幅されます。私が回答している悩み相談のブログでも、バストが小さくて彼に対して引け目を感じている女性からの相談が届いたことがありました。女性であれば太っている・やせている、バストやヒップの大きさ、乳首や乳輪の大きさ、色、形、性器の形、色、さらには毛深い、肌のきめや白さ……などなどコンプレックスになることを挙げていくときりがないほどです。

 誰もが完璧な見た目ではないんだし、コンプレックスをやさしく癒しあい、解消しあったセックスができれば……というのは、きれいごとにすぎないという実感は、私にもあります。

 たとえばバイブでも、見た目が受けつけないバイブは、まず試す気にもなりません。でもバイブコレクターとしてはいろんなものにトライしようという方針なので、とりあえずは使ってみます。予想をうれしく裏切られ、その性能の高さに驚くものもありますが、「こんなグロテスクなのいやだなぁ」という先入観があるせいか、ノレないパターンがほとんどです。そのものの実力をストレートに感受しようと思っても、好きになれないルックスに阻まれてしまうのです。裏を返せば、ルックスがいいバイブに対しては、気持ちが「積極的に愉しもう、もっといいところ見つけよう」とウェルカム状態になっています。もちろん「なんだ、いいのは見た目だけか……」という残念な結果に終わることもありますが、第一印象でつけた点数が高いぶん、マイナスされても高が知れています。

うすらデブ、といわれました。

 先ほど「ルッキズムなんてくそくらえ!」といったわりには、バイブに関してはなかなかのルックス至上主義者であることが露呈してしまいましたが、そもそもバイブと人とを比べるのがオカシナ話。人にはたくさんの美点があり、ルックスはその要素のひとつでしかないということは、説明するまでもありません……が、無視できないほど大きな〈ひとつ〉ですよね。というのも、私、ここ半年ほどで大いに太っちゃったんですよ。おそらく自分史上、最高値の体重を記録していると思うのですが、怖くて体重計に乗っていません。

 それについて、彼氏が頻繁にからかうようになってきたんですね。あるバラエティ番組で、スネ夫は悪口のボキャブラリーが豊富というネタで盛り上がっていて、ドラえもん向けて放った痛烈なひと言「うすらデブ」が紹介されていました。ドラえもんのことをデブと認識したことがなかったので、一緒に見ていたときは私も笑いましたが、この言葉が自分に向けられるとなると事情は多いに変わります。なんだよ、うすらって。辞書によると「名詞・形容詞の上に付いて、うすい、少しばかり、なんとなく、などの意を表す」とのことだそうで、客観的にみるとたしかに私はうすらデブなのでしょう。悔しいけれど、それは認めざるをえない……でも、それを言ったところでどうなるの?

 彼だって完璧なルックスの持ち主ではないし、本人が自分のどこにコンプレックスを持っているかは私にもよくわかっています。わざわざそれをあげつらわないのは、いったところでどうしようもないし、誰より本人がいちばん気にしていることを恋人といえど他人がわざわざ追い込む必要はまるでないと思うからです。それに私にとっては、それは欠点でも何でもありません。私自身にとってはどうでもいいことを、わざわざことばにする意味を感じないのです。

 こうして軽く〈いじる〉のもまた、親しみの表れと見るむきもあるでしょう。それも愛情表現のひとつだよ、と。でも、外見的なことをいじるのは、それが愛情をベースにしたものであっても、私は好ましいとは思いません。それでコンプレックスが拭われることはないし、結局はそれがルッキズムにつながると思うからです。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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