カルチャー

彼女いない歴=年齢のオタク男子に捧ぐ…生身の女子は怖くないよ

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Photo by rdnk from Flickr

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 セックスに正解はないとわかっていても、本音をいえば誰かから答えを教えてもらいたい。だからこそ、ハウツーセックス本はいつの時代も注目を集め、ときにベストセラーとなります。でも実際、ほんとうに役立つの? そんな疑問に答えるべく、時代を彩ったハウツー・セックス本を再検証。盗めるワザは盗んじゃえ!

30歳の保健体育

著者:三葉
2008年11月発売 一迅社

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 セックス本の著者は、ほとんどが「専門家」です。産婦人科医、AV男優、女優。1000人以上とセックスをした性豪……説得力の有無はさておき、「語るにしかるべき肩書き」を持った人たちです。では、本書の著者“三葉”さんとは? プロフィールなし、近影なし。文中の「女性が好きな体位」などのアンケートも、どこで誰を対象に行われたものなのか、ソースはなし。ないないづくしの三葉さんですが、一迅社からは本書を含む11冊の著書を出しています。他社からの著作物はないので、おとなの事情がありそうです。

  オタクを長くやっていると、同人誌などの変態プレイやアダルトゲームの中
  でのプレイに慣れきってしまいます。例えば、アダルトゲームでは当たり前
  のように見られるアナルプレイヤ着衣でのセックスは、世間ではアブノーマ
  ルプレイ以外の何物でもありません。ーー本文より

 本書の想定読者は、「30歳以上/オタク/童貞」で、「ピュアでシャイ」な男性。彼女いない歴=年齢なので、まずは女性と出会う方法からレクチャーが始まります。連絡先の聞き方、デートの誘い方、告白の台詞……懇切丁寧に進むなかで、「共通の話題を見つけよう」「服はセレクトショップで買おう」というアドバイスを読むと、「いうのは簡単だけど、実行するのが難しいんだよ!」という声が聞こえる気がします。

 実はこれ、すべてのセックス本にいえることです。「気持ちよくないならハッキリ伝えて」「彼女の顔から感じているか否かを見極めて」といわれたところで、それができないから本を読んでるのに……と気持ちが萎える人もいますよね。でも、そこを乗り越えなければ何も始まらないのも事実。特に、会話や初デートの服といった恋愛初期の要素で足がすくんでいては、先へは絶対に進めません。ここで本を閉じてしまう男性は、一生、童貞をこじらせることになるでしょう。

 無事に女性を誘い、デートを3度ほどして、さぁ初H……えっ、もう!? 恋愛経験ゼロの男性にとっては手を繋ぐのも、ファ―ストキスも超ビッグイベントだと思われますが、本書ではサクッと割愛。いきなり「ディープキスをしながら、押し倒す」という急展開! かと思えば、服を脱がすときは「スカートにはホックとファスナーがあります」、ラブホテルの利用については「玄関から入りましょう」(!)と、初歩の初歩から指南してくれていて、緩急の付け方がとても激しい1冊です。

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三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに取材、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(WAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

twitter:@MiuraYue