カルチャー

特別じゃない日常のセックスをきちんと描いたオトナ女子向けマンガ

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 時に不埒な夢を見せ、時に現実を突きつけるという真反対の作用を持つのが「マンガ」というカルチャーの面白さ。今回は、フラフラ流されやすいアラサー女子/セフレに本気な30代女子/男とまるで接点のないまま大人になった20代女子の3人がそれぞれ主役となるオムニバス『彼女の欲性論。』で女のリアルを痛感し、ビッグアーティストに見初められてイキまくり吹きまくりの『オオカミ王子の獲物ちゃん』で淫らに酔ってはいかがでしょうか。では作品紹介いってみましょう~。

彼女の欲性論。

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『彼女の欲性論。』

 性欲旺盛な年上の女友達・エイミとルームシェアしているアラサー葉月。エイミは頻繁にセフレを連れ込んでは、騒音と呼んでさしつかえないレベルの遠慮なき喘ぎ声を響かせます。そんなシェアハウスに、新たなルームメイト・すみれがやって来ました。

 葉月は結婚も視野に入れて2年半付き合った彼氏を「男に」略奪される。エイミは“セフレ”と気ままにエッチを満喫しているかに見えて、実は彼にベタ惚れで苦しんでいる。キスもしたことのない処女のまま30歳に突入しようとしているクールビューティーのすみれに届くのは不倫の誘いばかり。三者三様の女の物語が、決して軽やかでないズシリとした重さで読者にのしかかってきます。

 酔っ払ってちょっとイイなと思った男となら簡単に寝てしまう葉月も、30代半ばという年齢を自覚してセフレとの関係を見つめ直そうとするエイミも、年下大学生に告白されるも彼を全く信用できないすみれも、みんなどこかで見たことのある姿ではないでしょうか。彼女たちの日常は、ささやかな出来事の積み重ねで、その一部としてごく自然に恋もセックスもする。その匙加減が絶妙です。王子様もヒーローも御曹司も現れない、ご都合主義では決して動かないストーリーは、20~40代の幅広い層の女性たちの胸を掴むでしょう。

オオカミ王子の獲物ちゃん

『オオカミ王子の獲物ちゃん』

『オオカミ王子の獲物ちゃん』

 新歓コンパで一服盛られる被害にあった萌々香は、強引にヤラれそうになっていたところを見知らぬグラサン男に助けられる。男の人は怖い、と怯える気持ちの強い萌々香だけれど、媚薬効果なのかカラダが熱くて衣服と皮膚がコスれるだけで感じてしまう状態。屹立した乳首は痛いほどで、カラダの奥からじんじん痺れてくる感覚に耐え切れず、その男に身を任せることに。とっても怖かったのに、触れられることで不思議と恐怖心が和らぎ、彼が「私の様子をちゃんと確かめながら触ってくれてる」ことに気づいてから、萌々香はさらに感じやすくなってしまい――。

 刺激的な一夜を過ごしたものの、「最後までしてないし、まあいっか☆」と楽観的な萌々香に、男が再び接近! しかもその正体は一般人ではなく、超有名な画家・ルカだった!! あの夜に萌々香が見せた色香をもういちど引き出して作品に昇華させたいルカは、何度も何度も萌々香をイカせてくる。ただのヌードモデルなのか、それとも特別な女の子か? 徐々に苦悩しはじめた萌々香がとった行動は……?

 真反対ながらどちらもマンガならではの魅力を存分に発揮している『彼女の欲性論。』と『オオカミ王子の獲物ちゃん』は、どちらも「コミックシーモア」でご堪能ください☆