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男性が語るセックスはなぜこんなにもつまらないんだろう?

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男と女の想定内のセックスオンリー

 この特集がつまらないもうひとつの要因は、『GQ』誌上で想定されているセックスが、男性が女性を相手にしており、男性側の射精で終わる、ふっつーのセックスであることもあるのでしょう。びっくりしたんですけども、ヘテロセクシャル以外の観点が全然ないの。

 例えば「セックスするパートナーは女性ですか? 男性ですか?」という質問に対して、99%が女性と答え、男性と答えているのは0%、両方という人が1%。先日、電通がLGBTの割合は7.6%という調査結果を発表していましたが、これと比べるとヘテロセクシャル率が高すぎて、標本抽出の正当性が疑われます(要するに、調査対象がめちゃくちゃ偏っている、ということです。このへんの統計的な危うさは突っ込みどころがたくさんありすぎるので、いちいち指摘できませんが)。

 そのせいか、自分の部屋のベッドで、キスをして、おっぱいを触って、クリトリス触って、指入れて、挿入、みたいなマニュアル通りのセックスしか思い浮かばない。「えー! こんなことやってる人がいるんだ!」みたいな驚きもありません。これなら北原みのりさんが紹介しているセックストイのほうが多様性を持っていて面白い。USB充電が可能で、8GBのUSBメモリとしても使えるバイブレーターとか個人的にはものすごくツボです。製作側の「せっかくだから8GBのっけとこう」という意図が見えるようで笑ってしまいました。

日本のAV業界に改めて感心した

 想像力がないせいで、どんどん男性のセックスは貧困になっていくんじゃないか、という危惧さえ覚えますが、かすかな希望を見出せる記述も一点だけありました。特集のなかでAV女優がセックスについて語る部分があるんですけれども、そのなかに奥菜アンナさんという方が登場していらっしゃる。彼女最新作のタイトルは『入れ乳ポルノスター この女、偽パイにつき… 豊胸手術80万円で手に入れた完璧ボディー』というものです(以下、作品の説明文を引用します)。

「洋モノAV女優にいるような、パンパンに張った入れ乳おっぱいをテーマにしたAVを撮りたい! そんな構想も入れ乳を公言してくれる女優がいるハズもなく10年の時が過ぎた。そんな中、『私、入れ乳なんです!』と堂々と話す奥菜アンナと出会う。80万円の豊胸手術でMカップのおっぱいを手に入れジャパニーズポルノスターを目指すと言う。」

 構想10年! タイトルからして、バカ丸出しで最高なのですけれども、こういうところにセックスをエンターテイメントとしてみせる日本のAV業界の発想力の凄さを感じてしまいます。宋美玄先生が言うように「AVみたいなセックスはNG」ということは勿論もっと広まっても良いと思うのですが、それとは別に、AV業界の発想力は多様なセックスの可能性を示す光なのかもしれません。

■カエターノ・武野・コインブラ/80年代生まれ。福島県出身のライター。Twitter:@CaetanoTCoimbra

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra