ばばあ同士のユニット家族
――そこそこ稼いでくれる男と結婚したら女の人生アガリで、あとは稼ぐ必要ないってイメージが昔はありました。それこそが幸せな結婚であり、ゴールだと。
吉田「いやいやスタート地点にも立ってないよねって思いますよ。そこから山あり谷ありなんだから! それに、別に、永久に結婚してなきゃいけないっていう法律はないので、合わなかったら離婚しちゃえばいいんですよ。結婚っていつでも解消できるんですよ。すごいことだと思わない?」
――すごいですよ。一回神に誓ったのにね。
吉田「ははは。まあね、ちゃんとレールに乗らなきゃっていう真っ当な教育を受けてきたご家庭の子女ほどね、悩んじゃうと思いますよ。でも真っ当なレールから外れても、そこにまた分岐線ができて単線ができたり複線ができたり、いろいろ選べる道は増えるんです。レールがなかったら自分でプラレール組み立てていけば良いし。でもね、それにはお金、つまり仕事が絶対必要なので。女って若い頃は美醜にすごく左右されやすいけど、ブスでもちゃんとお仕事をしてればなんとでもなりますよ」
――ただ、絶対に働きたくないって人も世の中にはいますよね。
吉田「働きたくない人は、代わりに働いてくれる人を見つけて、それをコントロールできる腕前がないとダメだよね」
――そう思います。
吉田「私その腕前ないので」
――私もないんですが、女友達でその腕前が卓越している子がいます。すごいですよ。旦那を無理やり転職させて、無理やり自分の実家のあるほうに転職させて引っ越して、今は馬車馬のようにこき使っているように見えるけど、愛されてますもん。
吉田「それは才能なんですよ。私の友達にもその才能がある女性はいます。旦那がそもそも超稼ぐ外資系の男で、もう年収4000万みたいな人。彼女は最初から働く気はなく、旦那をうまくコントロールする術を持ってる。それはそれですごいと思う。才能だから」
――彼女たちも自分の欲望の着地点を見極めて、徹底的にシビアに生きているように見えます。それはそれで、かっこよく感じますね。ところで潮さん、現在の旦那様のご両親は健在ですか?
吉田「健在ですよー。元気元気」
――旦那様は家業を継いだわけですが、それを嫁として一緒にやってくれって義両親は言わない?
吉田「うん。『一緒にやってくれるもんだと思ってたけど』とは言われた(苦笑)。でもさ、その商売だって全然儲かるもんでもないわけですよ。そこに働ける人間を2人投入してお金が稼げなかったら生活苦しいじゃないですか。だったら私、東京で仕事わんさかあるから、こっちで稼いで、将来のお金貯めとくから、そっちはそっちで頑張って! って感じで。まあいつかね、何年か経ったら向こうの実家に私も住むよって話はしてるんだけど、今はまだ、こっちに仕事ありますから。2人共倒れはキツいじゃないですか」
――家業を夫婦で一緒にやってたら、実質ダブルインカムではないですからね。
吉田「ないない。他に従業員もいないけど、夫も給料ほとんどもらってないくらいだからね。まあ実家だからね、家賃かかんないし、お母さんもまだ元気でね。でもだからこそ、私が行って何か手伝う必要はないわけなんですよ。だったら私は私でお金を貯めて、家業が倒れた時でも夫1人は引き取れるくらいのベースは作っとこうかなって思って」
――今ちゃんと貯金してるんですか?
吉田「すごいしてる。結構あるよ(笑)」
――定期預金でガバッと毎月引き落とすやり方?
吉田「いや、うーんなんだ、使わなくなったっていうのが大きいかも」
――余分な竿と会わなくなったからですか? ホテル代とかの経費がかからなくなったとか。
吉田「それはあるかもね。飲み代は減ったかな。これは加齢現象とともにっていうのもあるかもしれないけど、あんまりお金使わなくなったんですよ。仕事が増えたっていうのもあるのかな。だから全然困ってないですね。ただ、フリーライターなんて退職金ないんだし、年金も厚生年金じゃないから将来不安。公務員なんて年金三階建てだからいいですよねー。というわけで貯めてますよ。まあ、夫も働くの好きだから家業がつぶれても何とかやるだろうけど」