連載

無職だって友だちが欲しいんです

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こんにちは。みなさんが額に汗して働いてる中、今週も僕は無職でした(お父さんお母さん、生まれてきてごめんなさい)。

そういえば、連載進行上の都合で、今回のみ相談が二回続く形になります。次回から、最初の相談に関して頂いたメッセージに反応する形になりますので、「おい無職、人の話聞く気ないのかよ!? 耳削ぐぞ」というお怒りはごもっともなのですが、今しばらくお待ちいただけたら幸いです。

とはいえ現時点で、頂いたコメントを拝読していて一つ、気がついたことがあります。

・明るい未来ってなに?
・あなたにとって明るい未来とはどのようなものなのですか。生活に不安がないくらい、お金がたくさんあることですか?信頼できる頼れる人と暮らせることですか?社会的に成功すること?尊敬されること?何をもって明るい未来と考えているのでしょうか。
・人との関わりや自分の好きなことなど、いろんな角度から自分の明るい未来とは何かを探ってみるのはどうですか?
・「明るい未来」の内容が漠然としててわからないのでもっと具体的に。具体的じゃないと物事ってなにも進めないから。

こういった問いかけが多く寄せられました。なるほど、と僕はすごく納得してしまいました。たしかに、明るい未来という言葉はあまりにも漠然とし過ぎていて、具体性に欠けています。

しかし、うむむ……と三十分くらい考え込んでみても、明るい未来の具体像を思い描くことは出来ませんでした。

考えても、わからない。しかし、わからないということが、わかってしまった。どうやら、人生がうまくいかない原因は、そのへんのところに隠されているんじゃないのか? という気がしてきました。

問題は単純ではありません。イタい要素の総合商社である僕には、おそらくたくさんの問題が隠されています。思うに、どうやら一足飛びに大きな問題を解決しようとしたことが失敗でした。明るい未来、という言葉が曖昧である以上、明るい未来とは何か? という問いもまた抽象的なものになってしまいます。

おそらく、明るい未来というものには、いくつかの複合的な要素が絡んでいる。

そうしたもっと一つ一つのことについて、具体的に考え、行動し、解決していくことでしか明るい未来には辿り着けないんじゃないのか?

つまり、明るい未来について考えるのではなく、一つ一つの現実的な問題について考えていくことが、明るい未来について考えることに繋がっていくんじゃないのか?

と、そんな気づきを得ることが出来ました。これも全て、読者の皆様のおかげです。だからこれからはどんどん前向きに、バリバリ人生を頑張っていくぜ! ……なんてことにはならずに、ダラダラと、相変わらず無気力に、ダメな毎日を過ごしてしまっている僕なのですが。

さて。

そんなある日のことです。

みなさんは無職の一日のスケジュールというのをご存知でしょうか? きっと、知りたくもない、というのが本音かもしれません。

無職というのは、暇です。かなり暇です。暇を持て余すプロフェッショナルと言って良いでしょう。日中は寝て過ごし、夕方にのそりと起きてくる。母親が呆れたような顔で出してきた食事を無言で食べ(毒盛られて殺されても文句言えないな~とか思いながら)、顔も洗わずまた自室に引き返します。それからひたすら現実逃避、なるべく脳みそを空っぽにするのが秘訣です。

無職になった当初は読書や映画鑑賞など、それなりに文化的な時間の過ごし方をしていたはずなのですが、やはりああいったものは精神衛生上良くないです。なにせ、考え込んでしまう。すると、なんだか働かなくてはならないような気がしてくるので、最近はゲームをすることにしています。

特に、誰も遊んでいないような、マイナーで面白くないスマホのソーシャルゲームアプリなんかが、お気に入りです。これは、何が面白いのかさっぱりわからないのが最高です。まさしく時間をドブに捨てている感が、なんとも言えずgoodでcool。その日も僕は、マジで僕以外の誰がこのゲームで遊んでるんだろう? というような、クソゲーで暇を潰していました。

ところがです。

僕の目に恐ろしい言葉が飛び込んできました。

フレンド申請

フ レ ン ド
friend = (可算名詞)友人,友だち.   ……研究社 新英和中辞典

その言葉に、僕はかなりのトラウマを刺激されて、思わず深夜に悶絶してしまいました。

信じていたのに、クソゲー!! お前まで僕を裏切るというのか!?

というわけで、今回の相談内容です。

今回の相談「友だちのつくり方を教えて下さい」

振り返ればこれまでの人生、僕は友だちを作ることが絶望的に下手でした。

才能が、ないんです。

そしておまけに努力も怠ってきた自覚があります。

フェイスブックや携帯電話のアドレス登録件数も、一桁。

小学生のときの友人、ナオくんはその後引きこもりになって音信不通。

中学で仲良くなった網走くんは、いつの間にか不良グループのリーダー格に成長、気がついときには僕は苛烈にいじめられていました。まるで『リリイ・シュシュのすべて』状態です。

友人のつもりでいた中島くんが廊下で別の誰か(A君)と歩いてるところに声をかければ、

中島くん「悪いけど誰かといるとき話しかけるのやめてくれるかな」

A君「誰だよ? その暗い奴」

中島くん「ああ、ただの知り合い」。

そうか! こっちが友人だと思っていても、向こうは知人以下だと認識してるパターンというのがあるのだな、と思い知ったものです。

高校時代の盟友Oくんは、僕に対して憎しみをつのらせ。

大学時代の友人たちは、「無職の癖に」と蔑んでくる。

よくよく見つめなおしてみれば、僕という男はイヤなところだらけです。常にため息ばかりついていて、口癖は「死にたい」。自分から連絡を取ろうとすることが一切ないどころか、来たメールは三カ月遅れで返すのがザラ。会えば会ったで、嫌味と皮肉のオンパレードを、相手がうんざりするまで続ける。協調性はゼロ、自分のことしか考えていないから、相手に合わせることが出来ない。そもそも何の取り柄もないから、僕と付き合うメリットなどは絶無。空気も読めず、相槌もマトモに打てず、お酌をすればビールをこぼす。

一緒にいるだけで不愉快な気分になる、扱いに困る人間の屑、それが僕です。

ここまで書いてきて、ふっと、なんでこんな酷い人間がまだ生きてるんだろう、という気分になってきました。早く死ねばいいのに……。

だから確かに、勿論、僕が悪い。悪いんだけど、なんだか、寂しい。

時たま、ふとした瞬間に、どうしようもなく、寂しくなります。

それでも友人が全くいないわけではなかったのですが、近ごろは会う機会も年に一度あるかないか。会社を辞めて無職になり、実家に引き返してくると、いよいよ惨めなことになりました。僕は小学校からずっと地元とは別の遠く離れた学校に通っていたこともあり、地元には知り合いすら一人もいないのです。

最近、(無職の癖に)繁華街に服を買いに行ったところ、コンビニの列で引きこもりだったはずのナオくんとバッタリ出くわしました。テレビドラマなんかでご都合主義的に出てくる、いわゆるひとつの偶然の再会ってやつです。かれこれ、十五年ぶりのバッタリでした。だから僕は、だいぶビックリしました。

重度のパソコンオタクの彼は、ダイヤルアップ回線の時代、通信費が十万を超えて親に怒られていました。それでも最先端を突き進んでいたナオくんに、僕は当時、憧れていました。頭が良くて、クールで、カッコ良かった。

だいぶ老けてはいましたが(かなり歳相応以上に)、あの頃の面影はありました。何より、紺色の作業着から名札をぶら下げていたので、すぐにわかりました。

僕「ナオくん、久しぶり」

ナオくん「あ? 誰だよお前?」

ナオくんはすっかり僕のことを忘れていました。それでも粘って自己紹介すると、やっと、「ああ……」とおぼろげに思い出してくれました。

ナオくん「お前何やってんの?」

僕「……無職」

ナオくん「それマジに終わってんな! 人生ナメてんじゃねーよ!」

それで僕たちの会話はすっかり終わりでした。他に話したいことは山ほどあったのに。でも、もう二度と会うことはないのかもしれません。友情というのは多分、人生と同じように、二度とやり直せないものなのかもしれません。

別の日、自宅でテレビを見ていたら、いじめっ子の網走くんがニュースに出てきました。それも、人生の成功者として。若くして起業家として華々しく活躍し、社会福祉事業も手がけ、とてもヒューマニズムに溢れる笑顔をテレビ画面にふりまいていました。昔はワルだったけど今は真面目に頑張ってるって例のパティーンを、かくも鮮やかに決められてしまった……!

僕は人生失敗したな、と思いました。

そんな僕ですが、それでもまだまだ28歳(無職だけど)、未来溢れる前途有望な若者のはずです。だから前向きに、今度こそ信頼し合える友人をつくりたい。

じゃないと、マジでつらい。真剣に、つらい。

だからどうかお願いします。

こんな薄っぺらい無職の僕でも友人を作ることが出来るような方法を、教えてください。

全く知り合いも誰もいない地元で、それでもゼロから、気軽に飲みに誘えるような友人をつくりたいのです。

今回のみ相談が続いてしまいましたが、今後は、みなさんからいただいたお答えを元に、それをどんどん実践していくというカタチで、連載をすすめていきます。なので本当にもう、切実に、コメントをお待ちしています。よろしくお願い致します。

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奥山村人(おくやま・むらひと)
1987年生まれ。京都在住。無職になってから体重が14キロ増えたので、体重計を買い直そうかな? と思っています。Twitter:@dame_murahito BLOG:http://d.hatena.ne.jp/murahito/

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奥山村人

1987年生まれ。京都在住。口癖は「死にたい」で、よく人から言われる言葉は「いつ死ぬの?」。

@dame_murahito

http://d.hatena.ne.jp/murahito/