先月19日に都内で結婚式を挙げたタレントの一ノ瀬文香さんと女優の杉本茜さんが、区役所に提出した婚姻届が不受理となった経緯を一ノ瀬さんのブログに掲載されました(5月8日掲載)。
Yahoo!トップニュースに載り、Twitterなどでも多くの方が言及されていたので、ご存知の方がほとんどでしょう。渋谷区のパートナーシップ条例しかり、性的マイノリティの認知度はたいへん高まっているように思います。しかし、関心の高まりに比例して理解が深まるわけではない、ということを今回のニュースについたヤフコメを見て感じました。
「不受理」に至る経緯
まずは経緯をまとめましょう。
一ノ瀬さんと杉本さんは、任意後見契約書とパートナー契約書を公正証書にすることを考えていました。公正証書の発行には、目的の価格に応じた手数料が必要になります。例えば、200万~500万円の価格が発生する案件であれば、1万1000円の手数料が必要になります。もちろんそのためには時間も必要になります。しかし、たいへんなコストを払って作成しても婚姻制度と同等の保障は受けられません。そこで一ノ瀬さんと杉本さんは公正証書の作成を取りやめ、婚姻届を役所に出すことにしました。
必要な書類をもろもろ揃えた上で役所に提出するも、「女性同士なので不受理になります」と担当職員から言われ、2人は「不受理の理由を書いた不受理証明をください」と伝えます。
その一週間後、担当者から電話があり、区役所に向かったところ、「女性同士を当事者とする本件婚姻届は、不適法であるから、受理することはできない」と書かれた不受理証明を手渡されました。
去年、青森県で女性同士が婚姻届を出した際には、憲法24条(婚姻は、両性の合意にのみ基づいて成立し夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により維持されなければならない)を根拠に、受理されなかったのですが、今回はそういった明瞭な根拠は記載されていません。一ノ瀬さんも、おそらくこうしたボヤけた回答がくるだろうということは予想されていたそうです。
念のため申し添えておくと、一ノ瀬さんは役所の対応を非難していません。少なくとも窓口担当者は丁寧な対応であったとお書きになっています。
その後、以前より誘われていた『同性婚に関する人権救済申立の申立人』となることを決められたとのことです。
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