みなさん初めまして。
このコラムのお話を頂いたとき、激しく挙動不審になった沖縄在住の上原由佳子と申します。26歳、地味系女子。今年からドッキドキの小学1年生になった娘ちゃんと一緒に暮らしている、今年からピッカピカの大学1年生になったシングルマザーです。
このコラムでは、沖縄で、大学生として、そしてシングルマザーとして生きる私と娘ちゃんとの日常を描きながら、シングルマザーを取り巻く問題について考えていきたいと思います。そして、出来ることならば、シングルマザーのことをポジティブに捉え直していきたい。まずは、人生初のダブル入学式を経験した春先に、コラムもスタートする! というミラクルな展開となっている、私の自己紹介をしたいと思います。
元キャバ、元ホステス、元極妻、そして……
キャバ嬢、ホステス、極妻……社会的にはマイナスとされる様々な記号に“元”をつけると、ここ10年くらいの私をシンプルに表現できます。
地味系女子の現在とは異なり、露出度の高いGALの代名詞“d.i.a”を身につけていた18歳の私は、若さとノリで結婚。19歳で妊娠して20歳で出産。21歳のときに離婚して、シングルマザーという新しい記号を手に入れました。
そんな私がなぜ突然、大学進学を決意したのか。それは結婚する前から続けていた夜の世界で出会った、あるお客様の言葉がきっかけでした。
高級クラブでホステスをしていたとき、銀座のデパートでホステス4人の買い物に耐えられる素敵な経済力を持ったお客様に某一流私立大学の前に連れて行かれました。そこには楽しそうにキャンパスライフ送っている同い年の人たちが。
「ここに居るのは、由佳子と同い年くらいの子ばかりだ。彼らは一流企業と言われる企業に就職して、彼らの子供も似たようなことをする。由佳子は、自分の娘をどうしたい?」
私は決めました。
「よし! 大学進学しよう!!」
思いつきと勢いだけで大学進学を決意し、2011年4月に定時制高校生になりました。
新しい記号の収集へ!
高校生になり、勉強に集中するため夜の世界から距離を置いたところ、夜界隈の友人たちが急に他人行儀になってしまいました。友人たちから羨ましがられること、そして目まぐるしい環境の変化に私自身がついていけなかったこともあって、自然と一緒に遊ぶ回数も減っていきます。ある日、久しぶりに夜の世界で働いているシングルマザーの友人と電話していると「由佳子は高校に通って、自分たちとは違うよね。私たちは中卒だし、バイト探すのも難しいよ。バイトの給料じゃ子供育てられないし」と友人が言いました。
「あれ? これって、もしかして社会問題なんじゃねーの?」
その時、私の単純でナイーブなハートに“問題意識”という名の火が着いたのです♡
それから、同じように「社会問題じゃねーの?」と思うようなことに何度も直面しました。実際に学生生活を始めてみると、シングルマザーが“学び直す”上でぶち当たる壁が見えてきます。大学の学費を稼ぐために水商売に戻ってみたら、そこでもやはりシングルマザーであるために生まれる困難が。さらに理由があって東京・沖縄を何度も往復していたところ、都心と地方のシングルマザーを取り巻く環境が微妙に違うことにも気がつきました。「地方はガチな生活困窮になるまでにタイムラグがあるかもしれないなー」と。
思いつきと勢いだけが取り柄の私は、そこから一気に、元キャバ、元ホステス、元極妻といった過去の記号とは全く異なる、新しい記号を収集し始めます。NPOスタッフ、NPOインターン生、ライター経験……ふわふわと波に乗り続けていたら、とうとう“大学生”という記号まで手に入れてしまいました。本当はフワフワ感なんて無いし、好きなようにしていたらいつの間にか真逆の(?)記号がついてきただけなんだけど(笑)。
沖縄シングルマザー女子大生の日常
10年前くらいに米軍のヘリコプターが墜落した某大学の、ダサい学生となった今の私は、シングルマザーの恋愛に対するバッシング、ひとり親の世帯の学び直し、働きながら子育てをする大変さなどに強い問題意識を持っています。
シングルだって恋愛したいし、勉強だってしたいし、働きながら子育てをするのは、泣きたくなるくらいツラいし、コラムを書いている最中も娘ちゃんが話かけてくるし(笑)。この連載では、そんなシングルマザーの日常を描きながら、皆さんと一緒にシングルマザーをちょっとだけポジティブに捉え直していきたいと思います。
上原由佳子(うえはら・ゆかこ)
1988年生まれ 沖縄県在住。女子力の欠片もなさを小学1年生の娘ちゃんから指摘される、どうしようもない系アラサー女子。