男のメス化には違和感あり
この特集でもうひとつ気になったのは、男のメス化についての記述です。取材によれば、女性より食事量の少ない少食男子だとか、洗顔後3分以内に化粧水をつけるなどスキンケアに気を配る男性は「メス化男子」で、実際にそういう男性たちがいるんだそう。ここであげられているメス化男子現象、「え、私じゃん」と心当たりがあります。私はメス化しているのでしょうか。
例えば「同僚の女性とランチに行って女性の方はステーキにライス大盛りを頼んでガッツリと完食しているのに、私は生姜焼き定食に半ライス。付け合わせのキャベツ千切りは完食するけど、豚肉は残した」だとか、「洗顔後、3分以内とは言わないまでも風呂上りには敏感肌用の化粧水を顔につけたうえに、ユースキンAを気になる部分に塗布」とか、普通にあります。それが「メス化」と言われることに、ちょっとびっくりしちゃったんですよね。全然、メスを目指しているつもりないので。ちょっと「男はたくさん食べる! 女は男より食べない!」「男は肌状態なんて気にしない! 女はスキンケアを怠るべからず!」といった雑な二分化に意識を支配されすぎているのでは。
オスとかメスとかじゃなく、ストレス回避の生活をしてるだけ
そりゃあ、私だってランチにステーキ頼んで、大盛りライスを食べたりもできますよ。でも、そうした食生活で太ってしまうのはヤです。「太った」と指摘されるのがまずストレスだし、昔の服が着られなくなるのも嫌。すごくお腹がすいていてたくさん食べたい日はステーキと大盛りライスを頼んで完食するかもしれないけれど、毎日そんな食生活を続けていたら太るし体調も崩しそうですから私はしません。
あるいは風呂上りに化粧水とクリームを塗るのだって、それをしないと肌がカッサカサで自分自身が不快になるからやってるだけです。肌が痒かったら男女問わずツラいしイヤですよね。要するに、単純に自分がストレスを感じないように生活をしているだけなんです。やることでストレスを軽減できる(=化粧水を塗るとカッサカサにならない!)から、やっている。オスとかメスとか関係ない。
それはおそらく「オス化女性」にも言えることです。「忙しいときに普段やってることができなくなる → やったほうがストレスになるからやらない」。それだけでしょう。行動の取捨選択、大いに結構じゃないですか。
オス化だのメス化だのの適当な枠決めって全く無意味。実質を見ると、男女ともにノンストレスライフへの中庸の道へ寄ってきている、という感じがしません? 男女関係なく同じ道に寄っていくと、みんなストレスが軽くなるって端的に良いことなんじゃないの、と私は思いつつ今日も風呂上がりに化粧水を塗ります。
■カエターノ・武野・コインブラ/80年代生まれ。福島県出身のライター。Twitter:@CaetanoTCoimbra
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