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映画も春画も。国内のポルノには甘く海外の性表現には厳しい日本の不思議

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カンヌで話題となった3Dセックス映画『LOVE』IMDbより

 カンヌ映画祭でド迫力のセックスシーンが3D映画として上映されたというニュースがありました。「セックスや性器を3D映像で丸写しにするとんでもない作品」であり、「男根から精液が飛び散るシーンまであったそう」です。名匠ギャスパー・ノエ監督の最新作『LOVE』。まだ海外の映画情報サイトにもトレーラーは出ていませんが、これは期待しちゃいますよね。公開されているビジュアルイメージ(トップ画像)だけでも、おしゃれエロティックな感じが伝わってくるし。

 ここではその性描写の過激さ、それが3Dで表現されることの可能性に終始していますが、米国の映画情報サイトによると「ひとりの男とふたりの女による、セクシーなドラマ。よろこびに満ちたセックスを祝福するラブストーリー」とあります。セックスだけをドライに描いたものではなく、恋愛という濃い人間模様を描いた映画のようですね。

 ただ、記事にあるとおり、日本でそのまま公開できるか否かという問題があるようです。SM純愛映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』もセックスシーンでボカシを入れ、肝心な部分がほとんど見えない状態で公開されていたぐらいですから、ノーカット上映はむずかしいのではないかという危惧は当然です。

 裸も性器も卑猥なもの、だから隠さなければいけないということなのですね。そりゃ裸や性器を見たい人もいるでしょうけど(私は、性器はともかく美しい裸を見たいという欲求はあります)、セックスシーンをとおして『フィフティ~』ならふたりの純愛、この『LOVE』なら祝福的な愛の形を見たいのです。映画を製作する人も演じる人も、表現したいのはそこでしょう。

なんで映画や春画はダメなの?

 なのに「裸だから」というだけでボカシちゃうのは無粋というか冒涜というか。『フィフティ』に関しては、R18指定verも上映され、そちらだとギリギリのところまで見られたようですね。『LOVE』が公開されるとしたら、そんなことがないよう祈ります。それにしても技術的なことは私にはまったくわかりませんが、3D映像でもボカシやモザイクって入れられるのでしょうか?

 性を扱うコンテンツに対して「日本では公開/開催できるかどうか」という話題がのぼるたびに、私は首を傾げてしまいます。だって、日本にはこんなにポルノグラフィがあふれているのに。

 つい最近、話題になったのは〈春画〉です。今年9月から12月まで永青文庫で国内初となる春画展が開かれるというニュースは、性に関心の高いmessy読者のみなさんならとっくにキャッチされているでしょう。

 この裏には、ロンドン・大英博物館で2013年に開催された「Shunga-日本美術における性とたのしみ」展の日本巡回が実現できなかったという背景があります。会場が確保できなかったというのがその理由で、これについてはかつて当連載でも触れました。へんなの。日本が生んだセックスカルチャーなのに。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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