爆発的人気のNHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』。視聴率はほぼ毎日20%超えで(最低は4月13日の16.7%、最高は6月29日の22.6%/ビデオリサーチ調べ、関東地区)、NHK以外のテレビ局も『あまちゃん』人気にあやかって、「じぇじぇ!」とか海女特集とか、やりたい放題である。
セリフ、小道具、チョイ役に至るまで、細かい演出と巧みな伏線が貼られているのが『あまちゃん』の特徴のひとつだが、たとえば【東京編】スタートと同時に、主人公・アキの父親(すでに離婚している)が交際している色っぽい女性がチラッと出てくるが、それが芸人の大久保佳代子だったり。「ジョーダンズ」の三又又三が本人役で通行したり。糸井重里と清水ミチコが、久米宏&黒柳徹子“ふう”の音楽番組司会者に扮したり……である。
さて、そんな「意外なチョイ役」として、あのダンサーが7月16日放送回に出演していたのではないか? と一部視聴者の間で話題になっている。
16日放送回では、東京でアイドル活動および大女優の付き人をしていたアキが、正月に地元・北三陸へ帰省している。ほんの端役ながら、大女優・鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の主演ドラマに女優として出演することができたアキ。その一瞬を見逃すまいと、祖父母は地デジテレビとレコーダーを購入して、茶の間で大勢の海女仲間とともに出演シーンを待つ。視聴者はアキが撮影時に40回もNGを出して監督らをうんざりさせたことを知っているので、マトモに彼女のシーンが使われているのかどうか、緊迫しながら視聴していただろう。その緊張感を打ち消すように流れる、バイク買い取りのCM……。
いらないーバーイク~買い取ーるぞう~♪ いらないバーイク~♪
インド風の宮殿をバックに、インド風の民族衣装を着た4人の女性ダンサーと、中央の一人の王様風男性ダンサーが歌い踊る「バイク買い取り」のCM。この中央の男性こそが……、「浜崎あゆみの元カレ」として一世を風靡した、マロこと内山麿我(まろか)にそっくりだというのだ。
しかしOPの出演者クレジットに内山の名前はない。おそらくこのCMが番組内で流れるのもこれっきりだろう。確かめる術はないのか……? NHKに電話してみた。
窓口の女性は大変優しく、ライターとして記事を書きたいのであのダンサーの名前が内山麿我さんかどうかを知りたい、と伝えると、まずは「こちらの手元にございます紙資料を当たってみます」とのことで電話を保留して調べてくださった。数分後、「申し訳ございません。わたくしの手元にございます資料に、その方のお名前は載っておりませんでした」と残念な報告が。しかし女性は「別の番組資料を参照しますので、もう少々お待ちください」とさらに念入りに調べてくれた。それでもダメ、マロの名前はない、とのことであきらめようとしたが、「別の者にも確認してみますので、もう少々お待ちいただけますでしょうか」と食い下がってくださり、さらに待つこと数分……なんとなく期待が高まってきた。
そして保留音が途切れたそのとき、「もしもし。……申し訳ございません」やはりバイク買い取るぞうのダンサーがマロ本人かどうか、この窓口で確認することはできなかった。通話時間は11分34秒。よくこんなくだらないことを長々と調べてくださったと思う。
それにしても録画した『あまちゃん』を見返すと、「やっぱり、マロだよなあ……」。そこでご本人を電話で直撃してみた。昨日、『あまちゃん』出てましたよね?
「あ、ハイ出てました出てました!」
あっさり認めてくれましたー! 撮影が行われたのは今年5月ごろで、同番組内CMのダンス振り付けをオファーされた彼の友人から、「でもこれ踊れる人がいないんだよねー。マロやらない?」と言われたことがきっかけだそう。言われてみれば、難易度の高いダンスかもしれない。みなさんも、もう一度件のCMを見てみてほしい。
(清水美早紀)